「眩いエルトン・ジョンのジグソーパズルの様な映画」ロケットマン nekoyamaさんの映画レビュー(感想・評価)
眩いエルトン・ジョンのジグソーパズルの様な映画
ファーストアルバムから聴いて来た長年のファンです。初期のバーニーと彼は、英国の吟遊詩人かの様に、哀しく美しく、聴き手の琴線に触れる作品を沢山作っています。そんな繊細な彼が不思議な変容を遂げて、エルトン・ハーキュリー・ジョンになっていく過程が巧みに描かれています。
エガートンはすごく似ていました。何よりレジーからエルトンへ、そして世界のスーパースターへと変貌して行く様は圧巻です。又、大切なパートを演じた子役さんには拍手。そっくりで愛らしいです。
私見としては、バーニーやジョン・リードとかはイメージが違うけれど、エガートンの熱量がすごく、映画全体を牽引しているのでまあ大丈夫でした。
昔買ったLPの訳詞・解説育ちの為、歌詩の意味を当たり前にしか理解していかったのですが、映画では歌に秘められた心情を紐解いてくれていて、ぐっと来ました、この映画は、本当にエルトン・ジョンをよく聴き、よく知ってる人達が作っていると感じました。
私の拙い知識でも見て取れた、ヤマハへのリスペクトや衣装、小物や薄毛の悩みに至るまで微細な情報が小さなパーツとしてあちこち散りばめられています。幼少期の彼の悲しみも含めて、全てが彼の人生を構成する大切なパーツであり、天空の星座の様に煌めいています。
成功後は、それはそれはゴージャスで、まるで現代の神話とも言える様な印象です。フレディもそうでしたが、稀有な才能と不思議な運命に導かれて高みへと登って行った彼もまた神様に選ばれた人だと感じ入りました。
ひとつ、12歳以上視聴可能みたいですが、ラブシーンは微妙です。正直、これはどうかなあと。ここまでいらないなと往年のファンとしては思いましたが。
本当は昔の想い人に会う様な感じで、気が重く、いつかひっそり行こうかなと思っていたのですが、観てきた人に強く勧められて、やっとこさ映画館に行きました。が。観て良かったですよ。良く出来ています。見応えがありました。本当に。まさか今になって"人生の壁"を大スクリーンを通して聴けるなんて思っても見なかったです。
現実に今のエルトンは穏やかに生きていて、めでたしめでたし。