「侘び 寂び は、ありませんけどね NY版 芸能ワイドショー的な」カーライル ニューヨークが恋したホテル きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
侘び 寂び は、ありませんけどね NY版 芸能ワイドショー的な
これはねぇ、5つ星ホテルの紹介ムービーなんですが、
Thats the Entertainment Show なんですよ。
ノリノリのJAZZに乗せてニューヨークにあるホテル【カーライル】の秘密を暴く。
(秘密と言いながら、皆さん、相当のお喋りです)。
支配人からルームキーパー、そしてリネンやドアマンまで、どうしてここまで自分の職場に恋して浮かれているのか。
微笑ましくもあります。
つまりは、此処は LIVE HOUSE の様相。一期一会のセッションが起こる会員制の隠れ家ってことなのだ。
レストランをお目当てにしてその町を訪れ、そこにベッドルームが備わった旅の宿を「オーベルジュ」と云うけれど、この【カーライル】の場合は、目的が=ホテルスタッフに会いに行く事。つまり人間目的。
そんな上客たちが、馴染みのスタッフに会いに行き、その晩は泊まってもいける ―そういうしつらえになっている訳です。
だから、隠遁させてくれる隠れ宿タイプではなく、気心の知れた友人たちに囲まれたいフレンドリーな人たちの”夜会の場“ と云うことですね。
しかし、内部の秘密は守るモットーの筈が、インタビューに応じる客たち「も」職員たち「も」、ずいぶんとプライバシーを喋りたがるので
いろいろと格が下がる気がしなくもない。
たぶん、世の表には出てこないけれど、これ92分も観続けていると「きっともっと上等の宿があるのだろうナ」と、皮肉にもそんな事を考えてしまった自分でした。
吃音症のドワイトがホテルの顔=コンシェルジュです。
笑顔の彼が定年退職なのか、それとも映画化に反対しての身の振り方だったのか、それは分かりません。
気になる言葉を彼は残してはいます。
まあ、とくとご覧あれ。
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でも、
日常から離れ、人と離れ、
庭石と 床の間と 掛け流しの湯 ・・つまり“静寂”にこそもてなしを見、
襖のあけたての気配に感じ入り、
「無」と「間合い」に癒しを求める僕のような人間にとっては
願いこうむる驚きの世界ではありましたが。
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うぐいすや
障子開ければ 春日山
夏目漱石
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