劇場公開日 2019年11月29日

「還暦を二度も味わいたくない!」HUMAN LOST 人間失格 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5還暦を二度も味わいたくない!

2019年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 太宰治の小説は未だに読んでないが、読んでない人の方が楽しめそうなアニメ。まず、設定がとても面白くて、医学が発展しすぎるとこんな世界になっちゃうのかと、現実的ではない近未来にはまり込んでしまいました。

 人々は120歳まで生きられる保障を与えられ、死んでしまいそうになってもナノマシンのネットワークにより治療が行われ、まさしく120歳祝賀記念が行われようとしている近未来。しかし、一方で労働年齢も引き上げられ、一日19時間労働が義務付けられているという奴隷のような生活を強いられているのだ。そして、特権階級は環状7号線内で何不自由なく暮らしているという格差社会。現実でも年金支給開始年齢が引き上げられ、70歳まで働け!と言われるようになったことも見過ごしてはならない。

 医療においても画期的な四大医療革命が実現し、医者がいないという社会。遺伝子操作、再生医療、医療用ナノマシン、万能特効薬の四つは頭文字をとってGRMPと呼ばれる。何しろ登場人物の堀木正雄、柊美子、大庭葉蔵の3人は特殊能力を持ち、“アプリカント”と呼ばれていて、堀木なんて人類最後の医者だというのだ。人間がヒューマン・ネットワークから外れてロスト体になり、それを克服すると稀に誕生するみたいだ。『ブレードランナー』の雰囲気もあったからアプリカントなのね・・・わからないけど。

 こういった特殊能力を持つ者がいないと、とにかく現状は打破できない。何しろネットに繋がれた奴隷なんだから、再生曲線と崩壊曲線のバランスが崩れそうにないのだ(よくわかんないけど)。ただ、インサイドに暴走するって雰囲気は色んなSF作品にありがちで、結局そこかよ!と感じたら面白くなくなってしまう。ただ、美子の最期はちょっと泣けた。葉蔵と一緒に叫びたくなった。

 何が人間失格かって命題もさっぱりわからなかったけど、ネットワークから外れた者のほうがよっぽど人間的なはずなのにエイリアンみたいになっちゃうからなぁ・・・なってみなきゃ心の中までわかんないけどね。また、自殺できるのが人間だけってこともあるかも。

kossy
bionさんのコメント
2019年12月23日

僕は、「人間失格」をしっかりと読み直してから見に行ったのがよくなかったです。
アニメーションは良かったが、ストーリーがしっくりこなかった。

bion