「掲げたテーマを作り手が理解してない感じ」HUMAN LOST 人間失格 Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
掲げたテーマを作り手が理解してない感じ
あんまり予告も見ませんでしたが
太宰治の人間失格のアレンジ脚本で近未来調のビジュアル
どんなもんなんだろうと興味本位で見てみました
太宰治のは、幼少期の追憶から様々な女性と共に送った
自分の半生をほとんど本人の遺書みたいに綴られ
本人の自殺という形で終わった作品で
文学性で評価されているような作品と理解していますが
自分にはこの映画との関連性はいまいちわかりませんでした
まあなんとなく理解したのは(違ってたらすいませんね)
ナノマシンや医療技術で疾患や異常を早期発見して
遠隔管理出来る事で寿命めっちゃ伸びたけど
エラーで怪物化(ロスト化)するから排除しようね
うまく120歳まで生きれば年金1億円出るから頑張ろうね
ロスト化増えてこのままだと人類滅びるから急ごうね
みたいな感じでしょうか
まずこの設定が突っ込みどころ満載
確か作中でも突っ込まれてましたがロスト化して怪物化すると
管理から外れるのではただの欠陥品ですしあんなもん広まるわけ
ありませんしそれは立派な治療システムが対応すべき病気じゃね
それ放置してそんなに完成されたシステムじゃなくねという
あと正直寿命120歳は現代医学でもそんなに無茶な話ではないです
もう人間100年生きても珍しくない世の中なんで
そんなにインパクトを感じる設定ではないです
作り手は老年学とかどう考えているんでしょう
ガスマスク付けて社畜のように動く人々との
関連性もよくわかりません
なんでガスマスクしてるんですかね
バイクの友人も仕事中の事故でも半メカにされて
働かされてるみたいな事言いますが
現実でも労働災害で事故に遭いつつも装具を着けて
仕事を続けている方はたくさん見えます
何がおかしいのでしょう
とにかく出てくる人物の動機が共感できないし
作り手の安直な意識が見え隠れします
ただこの世界では長寿であることがどうやら偉いようで
アッ○ル○ードで見たような元老院みたいなとこで
ワレワレハコクミンノケンコウノタメニーしか言わない老人に
ひれ伏して指示を仰ぐのですがいまいち理由がわかりません
主人公もたぶんそんな世の中にウンザリしてクスリに溺れる若者で
特にプレミアム感も無く、ヒロインが強引に選ばれし者ですとわめく
ばかりでああそうですかって感じでどうでも良くなってきます
このテーマのどこに太宰治要素があるのかというと
主人公がクスリに溺れてるとこくらいでしょうか
まあもうこの辺はどうでもいいです
なんというか
世界観がとにかくどっかの何かで埋め尽くされていて
全然目新しさがなく非常に退屈でした
上層の人間が理想の社会とか言ってて現実はディストピア
なんて世界観いくらでもありますが
小難しい設定色々出してきて結局やってるのはそれだけ
テーマも生とは死とはみたいのを取り上げたいんでしょうが
作り手が誰も真剣に考えてない感じで何を伝えたいのか
サッパリです
そのせいか長生きが素晴らしいという価値観を
自殺願望者の主人公が否定するみたいな
シュールすぎる構図になっていませんかね
こないだのHELLO WORLDでも思いましたが
複雑な設定放り込んでストーリーとも大して絡めず
投げっぱなしで終わるみたいな作品が目立つ気がします
人間合格って言いたいがためだけに
人間失格と太宰治引っ張ってきたんでしょうか
大の大人が何やってるんだろうと思いました