「純文学とSFが合体すると、スケールが凄すぎる!」HUMAN LOST 人間失格 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
純文学とSFが合体すると、スケールが凄すぎる!
英語にすると、
人間失格=HUMAN LOSTですが…。
そのLOSTという表現が、この映画では全然違った形で表現されているから面白い!
脚本が冲方丁氏なので、単純なストーリーではないと思ってはいたけど…。
まさか、この純文学をSFの世界に作り替えてしまうとは驚き!
しかも、登場する人物は、みんな原作に出てくるキャラクターと同じ名前にしているというかなり凝った仕上がり。
原作を知らない人は、まず『人間失格』を読んでから観ると、より一層この映画の世界を楽しめると思います。
この映画では、医療の革命的な進歩により人が死を克服した昭和111年の東京が舞台。
人々は体内にナノマシンを埋め込まれ、ネットワーク「S.H.E.L.L.」によって無病長寿を実現しています。
高齢者の平均寿命は120歳を超えて幸せなのに対し、若者は死の恐怖を知らずに、日々暴走行為を繰り返すという、表と裏の社会が存在しています。
そんなある日、ネットワーク管理から外れた人間が、LOST化して化け物になり、街を破壊する事態が発生!
LOST=失格
という烙印を押された人間は、AIによって次々に化物に変えられてしまいます!
この壊滅的な世界に救いの手は現れるのか?
結局、人類はAIに支配され壊されてしまう運命なのか?
フィクションとはいえ、AI技術がどんどん進化し、ナノマシンが人間を淘汰していく姿が恐ろしい…!
そして、ナノマシンの投入により、無病息災、健康寿命を目指してきたはずが、生きる希望を見失った人々の破壊と破滅が増幅していく姿がとても切ない…。
この壊滅的な世界に救いの手はあるのか?
ラストの行く末は、余りにも無情すぎて言葉を失ってしまったけれど、これが果たして正しい答えだったのかは最後まで分からなかった。
葉蔵には別の運命の道があったのか、それともやはり運命はこのまま変えられずに終わったのか。
色々と考えてみたけれど、その答えは分からずじまい。
結局、正しさや間違いなんて、誰にも決められない。
今の現状を一番よく理解しているのは、彼自身なんじゃないかしら?
そして、ストーリーは全く違う設定ですが、彼の生と死の考え方は原作に通ずるものがあると感じました。
死にたいと思っても死に切れず、周りの言葉やナノマシンの力に流され、流れ流れて自分自身が破滅していくという…。
太宰治自身も、恥の多い生涯だったみたいですが、葉蔵の人生も胸張って生きていきたいと言えるようなものではなく、この昭和111年の大気汚染で燻ってしまったような、悲しくも無情な人生。
一度LOSTしてしまったら、もう人間は2度と生まれ変わらないのでしょうか?
再生の道があるなら、もう1度チャンスを与えてあげて欲しい…。
だって若いんだもの。゚(゚´ω`゚)゚。
本日は東京国際映画祭の、舞台挨拶に参加させてもらいました。
舞台挨拶では、監督の木崎文智さん、脚本の冲方丁さん、声優の花澤香菜さんという豪華な方々が登場!
花澤香菜さんの、発言がとても可愛くて、見ているだけで癒されました(о´∀`о)
彼女曰く、おじいちゃんが登場するシーンがとても怖かったとのこと…。
これは映画を観た人にしか分かりにくい話ですが、確かに最後のおじいちゃんの辺りは結構怖かった(笑)
やっぱりお年寄りのパワーって、今も未来でも強し!
なかなかマニアックな発言でしたが、とても印象に残りました(笑)
今日から映像も解禁との事で、バンバン宣伝が始まる予感!
今度、パンフレット貰えたらもらいたいなと思いました。
とても貴重な時間をありがとうございました( ^ω^ )