劇場公開日 2019年9月6日

  • 予告編を見る

「青く美しい儚げな世界」いなくなれ、群青 チナさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5青く美しい儚げな世界

2019年9月11日
スマートフォンから投稿

泣ける

知的

幸せ

美しい映像、美しい演者たち、美しい音楽、美しくも儚い世界。
とても心地よく世界観に引き込まれ、文語体の台詞の響きも耳に気持ちよく、若い演者による青春物語に留まらず、自己肯定への旅をありありと見せつけられる。
今この自己葛藤、自己肯定の真っ只中の若者も、その過程をとうに通りすぎてしまった我々大人も、全ての人々のかつての姿が階段島にはある。儚くも優しい世界。私にとっても、階段島にはお迎えに行きたいかつての自分が確かにいた。
真鍋に、堀に、七草に、佐々岡に、かつての自分の欠片が見いだされる。

自分自身に迷いをもったことのある全ての人が、この作品を見て己を振り返り、幸せになって欲しい。

美しく優しい世界に涙を流しながらも、希望の光を見いだせる。誰もが考えさせられ、幸せになれる結末。原作はまだ続きがある。この美しい映像の続編が作られることがあろうとなかろうと、私の心のなかでこの映像と声、音を伴って物語は続いていく。
若き演者たちの演技の確かさ、嘘偽りの無い存在感、風の音も、声色も、全てが美しく夢のような作品。是非劇場で。

チナ