「この映画には色々と言いたいことがあります。」空の青さを知る人よ そにょさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画には色々と言いたいことがあります。
まず主人公がウザすぎる。高校3年生にもなって「自分が全て」「自分が正しい」と言わんばかりの傍若無人ぶり。両親と違い、ヒロインを育てる義務はないのにも関わらず自分のしたいことを我慢して10年以上も育ててくれたあかねを冷たくあしらい、おまけに自分の個人的な感情をぶちまけて「あかねえみたいになりたくない」などと言い捨てるとは…。中盤であかねのノートを見つけるまで彼女の苦労や葛藤に一切気づかなかったというのも、18(17)歳にしてはあまりに未熟すぎるのでは?プロの方が声優をつとめているということもあり、感情的すぎる一言一言にいちいちイライラしてしまいました。
また、あかねが地震によってトンネルで生き埋めになっているかもしれないという緊急事態に対して、周りの人間の危機感がなさすぎることにも違和感を覚えました。特にヒロイン。先述したノートをきっかけに姉に対して強い感謝の気持ちを持ったのなら、普通タクシーでも知り合いでも捕まえて真っ先にトンネルに向かうはずでしょう。それなのに、お堂から動けない(何の役にも立たない)しんのに報告しに行く意味が分からない…。正道もいくら役所の人間として仕事をしなければならないとはいえ、あかねに思いを寄せているのであれば仕事を放り出してでも助けに行くべき。その辺りの演出がチグハグすぎます。
そしてヒロインとしんの(慎之介)を繋ぐ目玉のホクロもアップのシーンでさえ描かれておらず、「目玉スター」というパワーワード(?)は一体何なのかと思わずにはいられませんでした。お互いの目にホクロがあることを認知し、しんのの口から「目玉スター」というワードが出たことは幼い頃のヒロインがしんのに感化される重要な出来事となったので、ホクロの描写は終始一貫して欲しかったです。
最後に終盤の、お堂から出たしんのがヒロインと空を飛ぶシーン。お互いに両手を繋いで空に浮かんだり、ヒロインをお姫様抱っこして空を歩いたり…思わずジ〇リか??とツッコんでしまいました。しんのは生身の人間ではないので空を飛んでも不思議ではないですが、この空を飛ぶという謎の演出で一気に全体的な世界観が迷走したように思えます。
絵は綺麗ですが色々と気にかかることが多いため、よほどの事がない限りこの映画を見返すことはないでしょう。
吉沢さんのアフレコと歌声が聞けただけ良かったと思うことにします。