「空を飛びたい」空の青さを知る人よ tomorrowさんの映画レビュー(感想・評価)
空を飛びたい
一見、恋愛もののようですが、兄弟(姉妹)愛の話であり、踏み出せない「僕ら」の話です。あおい、あかね、慎之介、それぞれが今の「場所」に囚われています。お互いを思いやるために三すくみとなった彼ら。そこへ、慎之介の高校生の姿、「しんの」が生き霊?となって現れる事で、三角関係が動き出します。
見る人の状況、年齢によって感情移入する対象が変わるでしょう。社会人であれば慎之介、高校生であれば、あおいに感ずる所があるでしょうが、私は、あかねの健気さ、若くして母親代わりとなったのに、その自然体な妹を想う姿に、心打たれました。
クライマックスで、しんのがお堂を出ます。他のレビューでも、違和感があると言われていた空を飛ぶシーン。私も、え?飛ぶの?やっぱり飛ぶよね、ハヤオじゃなくても、飛ばしたいよね、と最初は思いました(笑)
しかし見直してみると、このシーン、しんのも囚われていた、お堂という「場所」から自由になり、思う存分に、飛翔し、回転し、急落するこの高揚感と解放感!空の青さと、俯瞰する自然の美しさ。
この映像あってこそ、「空ってこんなに青かったんだ…」というセリフが出てくるのだと思われます。
青い鳥はすぐ側にいました。東京に行ってバンドやる、という夢はあかねを自由にしたいための方便に過ぎませんでした。
あいみょんの曲にもやられました。好きになってしまいました。
最後のおにぎりのエピソード。(あおいの好きな昆布でなくて)今度は(しんのが好きな)ツナマヨを作ってみようかな。とあかねが言うシーン。もうあおいから離れても大丈夫だと思ったあかね。しんのが成仏?します。それぞれの囚われから自由になった瞬間です。
おにぎりの伏線に感心しました。おにぎりの具は、ただの具ではなくて、愛を表していたんですね。
終わってからキャストを知りました。俳優さんの起用には賛否両論ありますが、吉岡里帆さんと吉沢亮さんの声の演技は良かったです。