劇場公開日 2019年10月11日

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「それぞれの葛藤と後悔」空の青さを知る人よ といぼさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5それぞれの葛藤と後悔

2019年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画館の映画上映前に予告が流れていて、「面白そうだなー」と思って鑑賞。事前知識はほとんどありませんでしたが、ネット上での評価も非常に高かったのでかなり期待して鑑賞しました。

いやー、素晴らしかったです。これぞ青春って感じですね。大人も楽しめる青春ラブストーリーになっていました。

まずストーリーがおもしろかった。
主要人物である4人(あかね・あおい・慎之介・しんの)もそうですし、脇を固めるキャラクター達もそれぞれ何かしら悩みや葛藤や後悔を持っていて、それをどのように乗り越えるかが描かれた映画になっています。それぞれのキャラクターの葛藤が現代社会を生きる私にも共感できるものばかりで、思わず感情移入して観てしまいました。

細かな演出も素晴らしかった。
おにぎりの具であったりガンダーラであったり、キャラクターの感情や思いを表現する演出が見られ、「何故しんのが13年後の現代に現れたのか」という部分も、明言はされないものの考察の余地を残すような表現が見られました。こういう繊細な表現と語り合いたくなるような考察の要素を含んだ作品は私の大好物ですし、作品の面白さにも直結すると考えています。

音響にも注目して観てみてほしいです。
映画冒頭の、あおいがイヤホンをしてベース演奏をするシーン。イヤホンを外す時に遮断されていた環境音が一気に耳に流れ込んでくるような音の表現があって、そこが鳥肌が立つくらい素晴らしい表現でした。それ以外にもバンド演奏のシーンなど、音響にこだわりを感じる部分が多かったので、これはDVDとかではなく映画館の大音量で観るべき映画だと感じました。

声優も素晴らしかった。
相生あかね役に吉岡里帆さん、慎之介・しんのの一人二役で吉沢亮さんなど、今話題の俳優さんが主要キャラクターの声優を務めています。アニメ映画の声優を話題の俳優にやらせるのはしばしば批判を生みますが、今回の吉岡さんと吉沢さんの演技は全く違和感を感じないほど素晴らしかったです。特に一人二役という難しい役に挑戦した吉沢さんが本当に素晴らしかった。高校生のしんのと31歳の慎之介を見事に演じ分け、私は映画終了後のスタッフロールで初めて一人二役だと気付きました。それくらい上手でした。売れっ子俳優が声優に挑戦することは私は反対派でしたが、吉岡さんや吉沢さんのような声の演技もお上手な俳優さんが声優をするのであれば大賛成です。是非今後も俳優業声優業ともに活躍していただきたいですね。

といぼ:レビューが長い人