「あの日の自分」空の青さを知る人よ にょむさんの映画レビュー(感想・評価)
あの日の自分
あの花もここさけもヒロインがとてもめんどくさいキャラで、多分今回もだよねって思ってたらビンゴ
でも嫌いじゃない←
話は複雑そうで割とシンプル
山で囲まれた盆地から出たい
ガンダーラ目指すよって言う、此処らへんは「惡の華」にもあった"まだ見ぬ向こう側の世界"を夢想する思春期のもやもや
青春劇としてはやはり同世代との絡みが少ない
これはクローズドの世界観では仕方ないし作劇上の問題もあると思うけど、実際に他人との接触を極力避けて生きてたらそんなもんだし、初恋をする年齢としてはどうしても人間関係的に世界が狭くなるのは仕方ない、となれば結果そこにリアルを感じる
あかねがあおいにそれとなしに打ち明けた恋話の"色々あったんだよ"も、あの狭い世間でまったくバレずに色恋が出来るとは考え難い…
というかそういう事を差し挟む余地がない
少なくともあおいがあの土地(世界)を旅立つまでは精神的な時間が止まっている
結果的に時間を動かしていくのは、外の世界に出て成功を掴んだ筈の慎之介の帰郷(凱旋?)であり、思春期の分岐点で置き去りにした高校生の自分"しんの"である
しんのに対するあおいの恋心がやや突発的な感じがしたものの、話の流れは滞りもなく安心して見れたし会話のセリフの組み立て方、やりとりがうまい
さすがの脚本
あかねに対する積年の恋心も伝わってはきたけど普通は他に好きな女性できるだろー?のつっこみは野暮かもね
少なくとも慎之介の方は諦念に行き着いた31歳の帰郷であり、ギタリストとして自分が望む形での成功をしていたらあかねの事を思い出せてたか?という疑念はわく
あかねの声はややぎこちない感じもしたが、慎之介としんのの二役を演じた吉沢亮は完璧な演技で、一人二役を感じさせませんでした
結界?とギターの弦が切れて しんのが部屋から出れていきなり空を飛ぶシーンは荒唐無稽ではなく、はっとする感動を受けた
そりゃここで空飛ぶよな
全部もってかれた
天気の子でも空飛んだけどそれの比じゃない
空飛んだとこでクライマックス
ジブリかよ!って思った
やはり日本のアニメは空飛んでほしいね
(*^ω^*)
空飛ぶ少女に感じる眩しさや守ってあげたいと感じる衝動は宮崎駿監督が発見した(刷り込んだ⁈)日本人の本能と言ってもいいような気がします。『ある船頭の話』でもオダギリジョー監督の演出で擬似的に少女が水中を舞っていました。