劇場公開日 2019年11月22日

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「愛と死と家族の物語」ライフ・イットセルフ 未来に続く物語 しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5愛と死と家族の物語

2019年12月6日
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悲しい

幸せ

映画の醸し出す雰囲気に、『マイ・ブックショップ』『ガーンジー島の読書会の秘密』と似た感触を感じた。
2作のような、【本】をテーマにした物語ではないのだが、章立てしたり、語り部のナレーションが挟まったりする描き方、「信頼出来ない語り手」というキーワードなど、これが誰かによって語られている【物語】である事を強く意識させる作りになっているからだろう。この仕掛けの種明かしは最後に待っている。

国も人種も異なる2つの家族の、親から子へと繋がる系譜、各々の物語が描かれ、思いもよらない形で交差していく。
唐突に衝撃的な出来事が降って湧いたりするので、始終ドキドキ…というかビクビクしながら見ていたのだが、不幸な出来事や気持ちのすれ違いは数多くあれど、完全な悪人は登場せず、後味の悪い思いをせずに済んだ。
バラバラの道筋が1つに収束していく構成も巧みで、スッキリ気持ち良く見終われる。

『さよならだけが人生だ』
人生は、予測不可能な出会いと別れ、愛と死に満ちているが、1つの命、1つの物語は、無駄になる事はない、全て受け継がれて続いていくという、壮大な人生賛歌。
良くできた作品だな、とは思ったが、私には感動する程は刺さらなかった。
余りに教科書通りで美しい主張に何処か気持ちが冷めてしまったのか、ディランやタランティーノをしつこく絡めてくるお洒落演出が少々鼻についたのか、『継がれていく』事への私の感慨が薄いのか。
良く解らないが、微妙にツボがずれていたらしい。技法としては好きな部類なんだけどな。

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しずる