「【ニューヨークの家族とスペインのオリーブ農家家族の国境、世代を越えた愛に溢れる不思議な繋がりの物語】」ライフ・イットセルフ 未来に続く物語 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ニューヨークの家族とスペインのオリーブ農家家族の国境、世代を越えた愛に溢れる不思議な繋がりの物語】
”人生、長く生きていれば様々な悲しみに遭遇する。親しい人との死別、恋人との別れ、親しかった友人との齟齬・・。 今作ではそのような様々な悲しみを正面から描きつつ、最後は素晴らしい結末に昇華させている・・。”
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章立てで、この切なくも美しき物語は語られる。
ウィル(オスカー・アイザック)とアビー(オリヴィア・ワイルド)はもう直ぐ産まれる娘を待ち望み、幸せの絶頂にいた。
が、”ある出来事”が起き二人は永遠に引き裂かれる。失意に沈むウィルは彼のセラピスト(アネット・ベニング)の治療もむなしく、奇跡的に誕生した愛娘ディランにも会わず命を絶つ。
ウィルの父に育てられたディラン(オリヴィア・クック)は"私は死と悲劇に捕らわれている”という深いトラウマを抱えて、荒れた青春時代を過ごしていた。
”第三章 ゴンザレス一家” から物語の舞台はスペインのオリーブ農家に移る。若き真面目な優しい瞳のゴンザレスは意中の娘と恋に落ち、ロドリゴ・ゴンザレス少年が誕生する。
そして、彼らを支えるオリーブ園のオーナー、ハビエル。
・彼が子供の頃のトラウマを抱えながらゴンザレス一家を支える姿がとても良い。彼の”自筆で書いた手紙は必ず想いが届く”などという信念など・・。
幸せな一家はニューヨーク旅行を楽しむが、”ある出来事”に遭遇し、ゴンザレス少年はトラウマに悩まされることになる。
時は瞬く間に過ぎ、ゴンザレスは立派な青年に成長し、ニューヨークの学校に進学し、恋もする・・・。
この世代と国境を越えた物語にはほぼ善人しか出て来ない。が、時が流れる中で悲しい事は起こる。
それでもこの物語は、前向きに生きていればいつか歓びが訪れる、というポジティブな思想の基に描かれている。
<世代、国境を越えた、愛に溢れる不思議な繋がりを描き出した良作である。章ごとのナレーションの移り変わりにも是非、気を配りたい。>
<これだけの人物を(しかも世代を超えて)117分で描いているので、筋の運びがやや粗い部分があるが、そこは”脳内脚本自己補正作業ボタン”を起動して、自ら自由に補完して鑑賞したいものである。
家人に得得と話すとかなり呆れられた表情が帰ってくるが、私にとっては楽しい作業である・・・。>
〝自筆の手紙〟……うん、確かにそれもこの作品の何気ない訴求力のひとつでした。
他の方のレビューで忘れかけてた作品の魅力を思い出すことができるのもまた嬉しいことです。
ありがとうございます。