ベル・カント とらわれのアリアのレビュー・感想・評価
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500年続く抑圧
テロは良くないと言うが、大航海時代から続く植民地支配の抑圧が、今も続いて変わらなかったらどうだろうか。
香港の民主化デモに対しても、したり顔で暴力ではなく話し合いでみたいに言うコメンテーターをテレビで見ると、ほとんど武器も^持たず抵抗している彼等の将来に希望はあるのかと悲しくもなる。
今朝、橋本前大阪市長がテレビで、優秀な香港の若者は是非、台湾や日本に来てもらってみたいなことを言っていたが、民主化の為に戦ってる彼等にはKYだろう。
南米では格差が固定化してしまって、打開に暴力しか手段はないと考える人も一定以上いるのは間違いない。
だが、映画で語られるように、サッカーに興じたり、オペラや外国語を習ったり、彼等も人懐っこい、普通の人間であることを考えると、政府側には話し合う姿勢がもっとあって良いのではないかと強く思う。
拘束された政治犯も罪を過剰に問われている可能性だってあるはずだ。
テロには、こうした手段しかないのだと主張する人もいるだろう。
でも、武器を捨て抵抗の意思を放棄した人まで殺害してるとしたら、やってることは大差ないようにさえ思える。
実は、20年近く前の映画のモチーフなった事件の詳細を僕達は知らないじゃないか。
この20年で、世界の経済は成長し、発展途上国のなかにも豊かになった国も多くある。
しかし、最低限の生活さえ遅れず、政治に自らの意見を表明できないのであれば、それは真の豊かさとは程遠い。
僕達は考え続けなくてはならない。
【真のテロリストは誰だったのか? 20数年前の日本大使公邸占領事件の実情を思い出す】
冒頭の反政府ゲリラのペルー副大統領邸宅で行われていたサロン・コンサート襲撃シーンは緊迫感溢れる。
が、ペルー政府は反政府ゲリラの要求を頑なに拒否し、メディアにすら人質の情報が掲載されなくなる。
この時点で、政府のこの占領事件に対しての方策が見えてくる。
反政府ゲリラの構成は、若き元教師がリーダーで、未だ少年少女の面影を残す夢多き貧しき若者が多数を占める事が徐々に分かってくる。
時が流れて行く中でゲリラ達と人質達との間に、交流が生まれる。それは日本人通訳人質(加瀬亮)と若き聡明な女性ゲリラとの愛であったり、ロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)の若きゲリラ兵に対するオペラの指導であったり、皆で楽しむサッカーであったり。
それは、恰も人質達が若きゲリラ達を可愛がって色々指導しているようにも見える。(序盤誤って人質を殺めてしまった少年ゲリラに人質の熟年男性二人が”君は真面目だからこの事件が終わったら私の元で働け”と言い、少年が照れ笑いを浮かべるシーンがある)
が、政府軍の一瞬の冷徹で残虐な行動でゲリラと人質達の不思議な絆は立ち切られる。
<解放された人質達に笑みはなく、当時のペルー大統領だったフジモリ大統領を容易に想起させるマスダ大統領が誇らしげに国旗を振る姿に、憎しみさえ覚えたのは私だけだろうか?>
予想以上に感動する作品だった
確かにオペラの口パク感は甚だしかったし、実際のテロをドラマチックにし過ぎだったり、つっこみどころはあるものの、うまい具合に人との関係性でもって感動的な作品になっているなぁと感心してしまった。その人間関係の構築と破壊が多少安易で嫌悪感を催すことも否定できないけれど─。
絶対的な加害者被害者という描き方をしていなかったところも引きつけられた一因で、むしろ権力の横暴みたいなものを描いているように感じたので、予想外の感情に触れてきた感じだった。欲を言えば、凶行に及んでしまう要因なんかを深堀してほしかったなーというところ。
音楽そのものは非常に情緒的で、作品を印象深いものにしていたように思う。
いろいろと自分の予想を裏切ってくれる素晴らしい映画だと思った。
あれ?なんか見たな
164本目。
緊急ないから休み。
昨日も休めたけど、緊急はいっちゃったからな。
てな訳で平日観賞。
うわ、めっちゃ空いてる。
TOHOでこの作りないだろって思ってるスクリーンで不満を感じず観られる。
で観始めてすぐに何かイマイチな臭い、であれこれって、あの事件がベース?
って事は結末は思ってたら、やっぱそう。
分かってはいたけど、ショック。
でもそこまで至る過程が面白くはあるけど、弛すぎて眠くなる。
何か残念。
いち作品として観るべき
エイガドットコム試写会にて鑑賞。1996年、フジモリ大統領時の在ペルー日本大使公邸占拠事件を題材に作られた半分史実で半分フィクションなお話。ジュリアンムーア扮するヒロインの歌声に感動、というよりは、当時小学生でフジモリ大統領の名前とものすごい世界的に批判されてたことぐらいしか記憶になかったから、逆にこれは『映画作品』としてすんなり謙さんや海外俳優達の演技力に泣かされたのかなあという印象。(ほんとラスト10分ダラダラ泣いたけど)史実をしっかり反映させてほしい人には矛盾だらけかも。加瀬亮が通訳の役で英語に加えスペイン語も頑張って長尺で自然にこなしてたのが凄かった。
イタリア語で”美しい歌(発声方法)”
2001年に発表されたアン・パチェットによる同名の小説の映画化で映画ではただ南アメリカの国としか紹介していないが、1996年に起こった MRTAによるペルー日本大使館襲撃事件からヒントを得ていると本の紹介には書かれている。あまりにも物語にフィクション性が高いためにあからさまには事件や事柄に特性を持たさなかったためか?
この本は、2001年の"Amazon's Best Books of the Year"にもなっていて、ほかには、賞にも輝いている。
渡辺謙は、近頃日本で私生活のことをマスコミに取り上げられていたが、この機会にもう日本とアメリカの両方の生活をするより、いっそのことアメリカに重点を置いたほうが、こんな小さな国ではもったいないほどで、この映画に関しては、オスカー女優のジュリアン・ムーアを相手に引けを取らない良い立ち位置にいる。また通訳として出演のGENという役名の加瀬亮は、彼の才能なのか、通訳として自然な演技をしていたのが印象に残る。彼が、MRTAの女性メンバーとの恋は、彼女の未来がわかってしまうもので、作者の冷徹さが、この映画の評価を下げてしまう一つの要因であるかもしれない。それと、このシナリオの重要な要素として、人質とMRTAのメンバーが何故か時間が過ぎていくうちに、奇妙な仲間意識や連帯関係が生まれ、ラストのほうでは、メンバーが混成のサッカーをする場面まで描いているけれども、ストリー自体が遅く感じ、しかもイベントのような盛り上がるシーンがほとんど皆無と言っていい変化のないもので、いわゆるだれたシナリオと言わざるを得ない。
アメリカの新聞紙Village Voiceのコメント「情熱的でしかも芸術性の高い映画において、だれも目的もなしに愛したり、死んだりはしないものだ。」カナダ最大の日刊紙Toronto Starのコメント「暴力的な場面でも叙事詩的なクライマックスが、観客が息をのんでしまうという感情に訴えかける力がある。」というように批評家からは、ある程度、好感を持たれているのだが、ジュリアン・ムーアがインタビューでもオペラを自らは歌っていないと潔く答えていたのだけれども、それにしても口パクであるのがあからさまに見えてしまうのは、個人的にはもう少し工夫があるのではないかと思うし、彼女の顔と声の質がかけ離れているようにも思える。
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