「ドラッグは、全てを破壊する」CLIMAX クライマックス さうすぽー。さんの映画レビュー(感想・評価)
ドラッグは、全てを破壊する
胸糞映画の代表「アレックス」でお馴染みの監督ギャスパー・ノエが、今回は薬物によって引き起こされる地獄絵図を描いた作品。
フランスのダンサー集団がリハーサルの打ち上げから朝までの出来事であり、ほぼ全編が施設内で展開されて、殆どがハンドカメラの長回し撮影で展開されます。
まず、キャストによるダンスシーンは圧巻でした!
主演女優以外は基本的に俳優では無くダンサーを起用しているそうです。
それだけにみんな踊りが凄まじいくらい上手い!
リハーサルの場面は決められた動きで踊り続けて長回しで展開されますが、みんな狂ったように踊り続けるし、普通の人では到底出来ない動きも平然と行うのでただただ圧倒されました。
しかし、腕を異常な速さで捻る人いたのですが、関節どうなってるんですかね?(笑)
狂っていく姿の演技も、本当にリアルでした。
薬物を入れられたような異常行動を取り、薬物の恐ろしさを実感出来たかと思います。
この映画では、ハンドカメラの長回しをすることによって、薬物中毒で狂っていく姿をリアルタイムに映しているのですが、薬物中毒に陥る恐ろしさを全面に描きたかったのだとしたら完璧な演出だと思います。
しかし、それをリアルタイムに映したことによって、個人的にはダンスシーンよりもトーンダウンしてしまいました。
前半のダンスシーンが凄かったせいか、話のメインであるはずの中毒シーンがインパクトが薄くなってしまったように感じます。
また、薬物中毒に陥ることによってカメラも狂ったようにブレブレになるのですが、これに関しては演出的に上手いとは思います。ただ、終盤になるにつれてブレブレになりすぎてるし、尚且つわざと人物からアングルを外してるようになったので、何が起きてるか解りませんでした。
また、中盤ではダンサーの会話シーンもあるのですが、それがかなり長いです。
タランティーノの会話シーンのように一ヶ所のみで展開するのであればまだしも、場面の切り替わりが激しいので、誰が何の会話をしてるのかが解りにくいです。
ただ、「アレックス」のように実験的な演出と内容だったので好きな部分と嫌いな部分含めてこの映画の個性なのかも知れません。
自分はギャスパー・ノエの映画は「アレックス」しか観てなかったので、そのインパクトがどうしても残っています。
個人的には良くも悪くも「アレックス」ほどのインパクトがありませんでした。