「自分のことは自分で決められる時代」ガーンジー島の読書会の秘密 masakingさんの映画レビュー(感想・評価)
自分のことは自分で決められる時代
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まずガーンジー島の景観に心を奪われる。
次に、戦時中、開放的な島の自然とは裏腹な不自由を強いられた島民が、強かに生き抜く様に爽快感を覚える。
一方で、いわれのない誤解に傷付き、島特有の閉塞感に屈託を抱えるエリザベスと母親アメリア、エリザベスに想いを寄せるドーシーの胸中を思いやる。
ジュリエットは、そんな島の歴史と人々にとって、思いがけない「異物」であった。
知るということは、時に人を傷付けることでもある。
ジャーナリズムが掲げる知る権利を少しばかり嗜めるようにして、
ジュリエットがしたためた「文学とポテトピールパイの会」は、
「異物」が島の悲しい歴史に溶け込んで病巣を癒す錠剤のように働いた。
エリザベスの生き方は、ジュリエットの心に「自分のことは自分で決める」という教訓とともに共鳴した。
映画のエンディングは、戦争が終わり、本当の民主主義がおとずれた瞬間であった。
戦禍にあって尊厳と自由をいかに獲得するべきかを、じんわりとした幸せが覆うラストに改めて考える機会となった。
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