「「自分らしく生きること」が大事」ガーンジー島の読書会の秘密 Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
「自分らしく生きること」が大事
イギリス+フランス合作ですが、イギリス色が強いヒューマンドラマ
舞台は、第二次世界大戦後のイギリス
ヒロイン、ジュリエット(女流作家)が読者ドーシーから、
ある本についてご存じでしたら教えて欲しいという
手紙を貰った事がきっかけで、
彼が住む、ガーンジー島で行われている読書会を
訪ねてみると・・・
ジュリエット「タイムズに(読書会の記事を)載せると言ったら
喜んでもらえるかと思って・・・」
読書会のメンバーの反応は、好意的なものとは言い難くてそれは
メンバーのひとりエリザベスが行方不明で
第二次大戦時ガーンジー島がドイツに占領されていた事と関係あるらしい
好奇心にかられ、編集者を通じて捜索し
読書会のメンバーからもエリザベスに関するエピソードを打ち明けられ
作家としてこの話を書かずにいられなかったけれど読書会の人々の
気持を慮って出版はせず彼女らに原稿を手渡す
エリザベスが占領下でも、自分らしい生き方を貫いた事に触発され
ジュリエットは自分の人生を見直し、
「自分らしく生きる事に目覚める」
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舞台がイギリスらしい、階級差別的な考えが根っこにあって
ジュリエットに冒頭でプロポーズした編集者のマークは・・・
ジュリエットに大量の薔薇の花束を贈る
婚約指輪は豪華なダイヤの細工もののごついもの
華やかな社交界
ジュリエットに、好んで男性名義で本を書かせる(イギリスにはホモが多いジョーク)
ドーシーを「豚飼い」と蔑む(住む世界が違う)
対するドーシーは、読書会発端のきっかけとなった(ドイツ軍に
家畜を飼う事を禁じられていたのが発覚しそうになってでっちあげで
作ったのが読書会~文化的な集会は容認されていた)豚を飼い、
血がつながっていないにも関わらず
エリザベスの残した娘を育てている純朴な男性
ドーシー「8歳の子供には、父親が必要だ」
マークが贈った薔薇の花束は、花瓶に入りきらずバケツに入れられ執筆室の外へ
執筆室のタイプライター(!)の傍に置いてある本の間には、小さな押し花
(文通して心を通わせていたドーシーのイメージか)
この対比が、ヒロインの気持ちを代弁していて面白かった
手紙やタイプライターやら文通やらの
アナログな交流や執筆風景が、時代を感じさせると共に
本を執筆する事に対する真摯さと
ドーシーと心が通い合っていく様を暖かいイメージで伝えてくれる
PCやメールでは多分、こういう気持ちの触れ合いは少ないだろうと思う
個人的に気に入ったキャラクターは、
出番が少なく、気取ってはいるけど自然体で
クールで切れ者の編集者シドニー
ジュリエットとの、会話や接し方から、プロの編集者とは
こうあるべき、というイギリス流の美学を教えてもらった感じで
嬉しかったです
「読書会」というタイトルから、本好きな人々の話だと思っていたので
予想とは外れていたけど、少女小説の様な趣のある、いい映画でした