「【”従属か抵抗か” ”このような状況の際”に鑑賞すると色々考えてしまった作品。】」囚われた国家 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”従属か抵抗か” ”このような状況の際”に鑑賞すると色々考えてしまった作品。】
舞台は近未来(2020年代)のアメリカ、シカゴ。
突然飛来した”統治者”エイリアンたちに、支配されている地球。(但し、今作では他の国の状況は一切、映像では描かれない。)
“統治者”たちに迎合し、貧富の差が拡大する中、圧政を敷く政府。
トップはアイゴー本部長、及びマリガン(ジョン・グッドマン)
前半、マリガンの行動に振り回される。彼は、特権なのか、封鎖された地域に乗り込み、レジスタンス達を捜査する傍ら、ある女性(ベラ・ファーミガ)の家を訪ねて、意味深な会話を交わす。LP盤に針を落とし音楽を流す女性。本棚には多数の本が並んでいる。
前半はエイリアン達は朧気ながら登場するが、正体は明らかにされない。
何故、地球に来たかも、レジスタンス達の言葉から推測するのみ。
・観ている側が色々考えさせられるのだ。
レジスタンス達は、政府の監視を掻い潜り、あるものは一市民として、ある者は地下に潜伏して情報を流し、爆破テロを計画する。
・この辺りのストーリー展開は粗いが、飽きない。様々な手段を使っての情報の流し方など。
オリンピックの会場のようなところで、政府の要人が”統治者”達を迎え入れる(というか、崇める?)場面で、レジスタンス達のテロが決行される。
・ここからは、脳内ではエイリアン達、”統治者”は私の中では”別のモノ”に見えている。貧富の差から目を逸らし、強大な権力者に迎合する人々の姿。私たちの周りで現在も見る風景ではないか?
ラスト、マリガン(ジョン・グッドマン)がレジスタンスのリーダーの弟ガブリエルに渡したチップの中身が明らかにされる場面で、
彼の立ち位置とある女性(ベラ・ファーミガ)やレジスタンス達との関係が明らかになり、
”マッチを擦れ、戦争を起こせ。屈するな。”というレジスタンス達の言葉が蘇り、少しグッとくる。
<“統治者”エイリアンは、実は私たちの身近にいるのだ。私たちは命を懸けて今の状況に抵抗しなければならないのだ。と思ってしまった作品。多様な見方が出来る作品でもある。
(尚、エイリアンへの抵抗映画として単純に観るならば、3.0点である。)
NOBUさん、いつもありがとうございます。
グッドマンとファーミガの関係が面白かったですよね。
コロナを考えると、エイリアンを敢えて描かない方が良かったかもしれません。