「Datura metel」LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Datura metel
花言葉は「素敵な恋人」「愛敬」「偽りの魅力」「変装」「恐怖」ということで、今作品主人公のヒロインになぞらえてのオープニングであろう。モンキーパンチ先生の逝去により、追悼の意味も今作の意義であることは間違いない。先生の画風に寄ったキャラデザインであることからもそれは明白である。但し、作中の入浴シーンの作画変更はハッキリ言って頂けない。せっかくあの世界観を演出しているのに、何故にあそこだけ、しかも入浴シーンでのいわゆる“お色気”演出としてのバストトップ披露なのに、急にワイルドな画風が何だかソフトドローイングに変わってしまっているのは、アニメ作品としての矜持を忘れてしまったとしか思えない。勿論、ギャグ要素が絡むような作風ならば一つのアイデアだとは思うが、今作の世界観はもっとハードボイルドさを前面に押し出す筈であろうことは当然なのに、非常に残念である。多分何か問題があったのだろうことは容易に想像できるが・・・
ストーリー展開は少々無理を感じてしまったのは、何故に不二子が敵であるビンカムに執着心を抱いたのか。表面的には自分に似たようなモノを感じ取ったのだろうと施されてはいるが、とはいえ、普段の不二子らしからぬ“熱さ”みたいなものが垣間見えているところに違和感を感じたのだが、逆に今回は、その“クールビューティ“がキャラ変したらどうなるかみたいなことを表現してみたかった制作陣の冒険かもしれない。冒険と言えばこれだけアクションをする不二子も滅多にないし、今までの不動な性格が今作に於いてこういう押し出しも可能性として面白いのではという意図は理解出来た。
多分、今後の新作に繋がるであろう伏線も差し込みつつ、ラストのルパンとの絡みはホンワカとした関係を演出できていて良かったシーンである。その際の伏線回収である、ゴールドとシルバーの違いとかサラリと種明かししてる流れもクールでよい。ビンカムとの疑似駅弁という演出も良かったから、もう少し18禁路線に寄せても良いのではないだろうか?そんな期待を持たせる作品であった。
PS:タイトルカットの銃声が、今回は秒針の音に変わっていたのも興味深さと故の魅力さも追記しておく。