「南北分断のドラマは悲しく熱い」工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 たけやんさんの映画レビュー(感想・評価)
南北分断のドラマは悲しく熱い
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北朝鮮というと、中川家のニュースキャスターや、サンドウィッチマンの「北の偉い人」のモノマネもあって、昨今ではコミカルな印象もあった。しかし、映画の中の北朝鮮は戦慄と恐怖でしかなかった。
1つの行動や受け答えで粛清されてしまう官僚や軍人たち。飢餓に苦しむ国民。圧倒的存在感の「北の偉い人」。キムデジュンのことなど、歴史の裏舞台も知れて、もうiPhone画面に釘付け。
見応えはやはり、冷静冷徹な官僚であるリ所長との交渉シーン。腹を探り合いながら、ギリギリの信頼感のところでお互いの利益を図る。ミスるとお互いに命はない。処刑or粛清
そしてもう1つの見どころ。緊張感が高まるにつれて、観る方も身体が強張ってくるなか、そのリ所長が時折「人間」としての顔を見せる。そう、彼にも同じく赤い血が通っているのだ。滅多に表情を変えない彼の、止むに止まれぬ心の叫びに、ただただ涙するしかなかった。そして、彼の家に接待を受けての食事シーン。ホテルでの高級レストランではない。しかし、どうだろう。人間が心を通わせ、同じテーブルについて食事を取るって、こんなに温かいものなんだなと深く沁み入る。その対比が素晴らしい。
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