「ままならない人生、それでも楽しく美しく」幸福路のチー ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
ままならない人生、それでも楽しく美しく
アニメーションで人の人生を描くという手本のような作品だと思った。台湾現代史と個人史を重ね合わせ、想像力を駆使して、1人の女性の人生の、酸いも甘いも描きつくしている。希望と想像力に溢れた子供時代、政治活動に明け暮れた青春時代、上手くいかないことだらけの社会人時代、そしてアメリカへと移住し、運命の人に出会うもここでも上手くいかない。子供の頃、思い描いた人生にはならなかったとしても、それでも人生は素晴らしいと謳い上げる。
同級生の米国人との混血のベティは台湾社会におけるマイノリティを代表する。沖縄にも米兵を父に持つアメラジアンがいるが、それと同様の存在だ。渡米後の主人公は、アメリカでのマイノリティだ。どの社会にも抑圧があり差別もある。しかし、どこの社会もそれが全てではない。友情と家族愛を力に、主人公は力強く人生をリスタートさせる。
『おもひでぽろぽろ』や『この世界の片隅に』を思い出す人もいると思うが、個人的には韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を思い出した。
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