劇場公開日 2020年9月25日

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「若林ちゃんがほんとに天使」甘いお酒でうがい まつこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0若林ちゃんがほんとに天使

2020年9月28日
iPhoneアプリから投稿

凄く良かった。面白いし、丁寧な感じがするし、内容も良いし、小物や服も可愛いし、雰囲気もほっこりするオシャレな雑貨屋さんのような雰囲気だった。原作や脚本の説明を、字面だけ見るとどうしてもあの大人気作を彷彿とさせてしまうけど、タイプは全く違うタイプの映画で、これはこれで面白かった。
松雪泰子演じる独身女性の淡々とした日常を日記形式で見ていく映画。日々の小さな幸せや哀愁漂うエピソードなど色々折り込まれた日常を見て行く。松雪泰子の服装や部屋や小物、とにかく全部可愛い。妄想だったり、想像だったり、考えている事だったり、全てが共感出来るわけじゃないし全部が見てて楽しいわけじゃないんだけど、明日は何が起こるのかな?1ヶ月後は何か起きるかな?とソワソワして見る楽しさもある。
でも、この映画の私の中の1番のポイントは主人公の仲の良い会社の後輩、若林ちゃん…!!黒木華演じる若林ちゃんは、何かとても明るくて表情がくるくる変わって楽しくて面白くて、先輩(主人公)の事が大好きで、言動とか服装とかマジやばいな、ってぐらい可愛らしくて…こんなに見てるだけで幸せになるキャラクターいるんだなって思った。喋ってても動いてても仕事しててもおちゃらけていても食べてても釘づけになる。7月以降に観た映画の中でももう断トツに好きなキャラクターだった。黒木華だけをピックアップすれば、「幕が上がる」の演劇部の顧問役以来のめちゃくそ当たりの役だった…。ほんっっとに良かった…。先輩との会社でのやり取りも、飲み屋でのやり取りも、休日のやり取りも、全部が目が離せないぐらい良いシーンだな〜と思った。なんか事件が起きるシーンは全く無いんだけど、この子がいるだけでこんなにじわじわ幸せ感じるなんて…て感じで。でも、だからと言って若林ちゃんを主役にすればいいわけじゃなく、このアンニュイなほわほわした主人公と関わっていく明るい後輩役っていう立ち位置が絶妙で…!
黒木華演技マジうまかったなぁ…次観るとしたらそれこそお酒飲みながら見たい。止められないから言うと、ラストシーンも良すぎた。笑
そして、若林ちゃんがたまたま紹介してくれることになった大学時代の後輩・岡本君(清水尋也)。岡本君に至っては私の大好きな清水尋也だからもう好きフィルターが掛かって良いふうにしか見えないんだけど、やっぱ良かった(笑)
私が好きだったのは皆でドライブに行く時に、待ち合わせ場所で主人公を待ってて柱に寄りかかっていて、主人公が来た時にした「あ、来た」の表情…!ネタバレってほどでもないからいうと、淡くでも恋心を抱いてる相手が待ち合わせ場所に来た時の人間の表情ってめちゃくちゃ良いね。
この映画は、見てるとだんだん気付くんだけど、作品のメインの人や、エピソード毎のメインの人にだけセリフがあって、脇役の人達は余計な事を喋らないのもなんだか不思議な空間(多分日記形式で進んでくからかな?)作りがされていて、良かった。いっぱい人が出て来て皆が一斉にわちゃわちゃごちゃごちゃ喋るようなのも好きだけど、こんな空間の作品も面白くていいなと思った。素敵な映画だったなぁ。

まつこ