「楽しい時間が過ごせる関係の2人なのに、ラストにスコーンとされます。」僕の好きな女の子 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
楽しい時間が過ごせる関係の2人なのに、ラストにスコーンとされます。
なんとなく予告編を観て"うわっ!面白そう♪"と思い、食指がムズムズして観賞しましたw
で、感想はと言うと、作品の雰囲気好きだ!
良い、良いよ♪ 良いのに…何故だ? バッサリ! 惜しい! なんで!?
と言う感じですw
冒頭から予告編の映像そのまんまに駅に向かう途中でのLINEの他愛もないやり取りがなんとも微笑ましい。
ほんわかした雰囲気で心地良い作品が始まる予感に優しい気持ちになれる。
若手脚本家の加藤と若手カメラマンの美帆。
仲睦まじい2人のやり取りは端から観れば、付き合いたてのバカップルw
何をするのも楽しい♪ 何もしなくても楽しい♪
他愛もない会話と時間が楽しくて仕方がない。
でも、2人は付き合っていない。
その距離感と少し踏み込んでしまうと崩れてしまいそうな儚くも脆く淡い関係と思いが切ないし、なんか愛おしい。
とにかく、加藤と美帆のやり取りが良いんですよね。
駅での出会い頭の美帆の目潰し!
袋に入れず、借りた漫画をいきなり返す!
井の頭公園でギターを掻き鳴らすフォークのお兄さんのパンクな格好を大声で茶化す!
公園での待ち合わせでショベルカーに股がり、登場する美帆。柵を上手く越えても、途中で転んで膝小僧を擦りむく♪
居酒屋で加藤の靴をわざと履き間違えてそのまま履く!で加藤は美帆の靴を履いちゃう!
イタタタタ…イタい。イタすぎる。
もうバカップル全開で見ていられない。でも見ちゃうw
どう考えても付き合ってる様にしか見えないし、迷子の子供にもそう思われているw
そうでなければ付き合う寸前の関係。
これで付き合わなければただのバカだ!
でも、2人は付き合わない。
加藤は美帆との今の関係が心地良くて、今の関係を壊す事が怖い。
でも、美帆の事は好き。でも奥手になり過ぎる。
美帆は加藤との2人だけの関係が楽しい。
でも他の人が入ると急に一歩退いた感じになる。
楽しいし、切ないんですよね。
2人に下心が無いかと言えば、心底ではそうでは無いんだと思うんですが純過ぎる。
確かに美帆の天然ぶりの小悪魔感はかなり酷いw
ここまで思わせといて、その気が無いなんて、天然通り越して確信犯w
加藤も端から見ればただの変な人。
でも、そんなもどかしい関係を経験して、付き合うなり、駄目でした~となったとしても、そんな経験は大事な時間になる筈だし、そんな時間は期待しているし、期待するw
2人に対する他人のやっかみの様な要らぬ声すら鬱陶しく感じる。
「火花」では自身の夢に向かう真っ直ぐな漫才コンビを描き、「劇場」では夢に向かい苦悩し、葛藤し空回りする彼氏とその彼氏を直向きに信じようとする彼女を描いていましたが、今作では互いを思いやり、今の関係を保ちたいと踏み込めない関係を保っている。
加藤役の渡辺大知さんは「勝手にふるえてろ」の時よりも格段に良い。
美帆役の奈緒さんも天然だけど可愛らしい。時折桜井日奈子さんに見えます♪
そんな良い感じなのに、事態は急展開!
脚本家としてもデビューした加藤だけど、美帆からは突然"彼氏出来た"宣言。
えっ? 前に振られたと言うてたし、加藤の気を向かせる為の振りだと思ってたら、ホンマに彼氏を作って、3人で井の頭公園で会う事に。
加藤の良い人っぷりを通り越して、駄目な男っぷりが露呈してきて、そこに美帆のド天然っぷりの酷さが浮かびあがる。
でも、一番の被害者は今の美帆の彼氏w
彼氏に加藤への思わせ振りやアプローチは無かったかと聞かれ、涙ぐんでしまう。
一人でスワンボートに乗っている加藤は完全なピエロw
井の頭公園にはカップルがボードに乗ると別れると言う、高確率の都市伝説があるけどw、それが前振りになると思っていた。
加藤と美帆の2人になって、2人の互いへの思いが爆発して、さてどうなる!と思いきや…
場面は数年後になって、加藤は結婚して、子供もいてる。
仲睦まじい家族の姿。
井の頭公園には変わらずパンクな格好でフォークを歌う兄ちゃんもいる。
で、エンドロール…
…えっ? え〜〜〜〜〜〜っ!!!???
どういうコト?
加藤と美帆の関係は? その後は? 美帆はどうなったの?
と、いろんな思いがありながらもバッサリ、スコーンと終了~。
実際にもそんなもんだと言えば、そんなもんかも知れませんが、あまりにも突然の終了と断捨離っぷりに呆気に取られましたw
2人のハッピーエンドでもバッドエンドでもきちんと見せて欲しかったし、美帆の思いや気持ちを聞きたかった見たかった。
なのに、なのに…
あまりにも突拍子もなかったのでホント呆気に取られた。
ある意味凄い作品。
ラストに至る迄の流れが凄く良くて、2人の気持ちが良かったのに…
と言う感じの突然の放送中止モードでしたw
ホント、このラスト迄はすごい良かったし、「劇場」よりも好きかもと思った。
でも、「火花」のラストの神谷の豊胸よりもビックリしたw
いや〜ビックリしましたわ。
この終わり方も観る人それぞれの感想があるかと思いますが、自分はちょっとダメでした。
でも、又吉作品って文学なので、こう言うもんかと思えるけど、この作品の元は恋愛エッセイと聞いてるし…
この作品の一番のキモは美帆の自分でも読めない心だとは思いますが、そこはハッキリさせて欲しかった。
切ない。切ないなぁ~ 加藤の思いも美帆の気持ちも、ラストもいろんな意味で切ない作品。
と言う感じのかなりな怪作w
甘くスイーティな感じに見えて、めっちゃ小悪魔。
でも、妙に引っかかる作品です。
ネタバレが嫌いな方も多いと思いますが、知らなければなかなかなドSな作品ですw
気になる方は如何でしょうか?