「最恐のイザベル・ユペールを観ろ!」グレタ GRETA andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
最恐のイザベル・ユペールを観ろ!
怖いイザベル・ユペールと怖くないイザベル・ユペールどっちが好きですか、と聞かれたら...どちらかといえばやっぱり「怖いイザベル・ユペール」が好き、というか期待してしまう。
冒頭のイザベル・ユペールの後ろ姿は美しい。ただあんなあからさまにバッグ忘れるかよ、とは思う。しかし純朴さが全面に出ている(ふっくらしていて大変かわいい)クロエ・グレース・モレッツはそれをイザベル・ユペールにお届けにあがってしまうのである。
母親を亡くして意気消沈しているクロエ、いやフランシスはイザベル・ユペール演じるグレタに夢中になってしまう。そりゃそうだ、イザベル・ユペールだもんね...。イザベル・ユペールはすごく優しいのだ。最初はね。
お友達エリカに止められながらもグレタにのめり込むフランシスだが、案外あっさりグレタはやばい女性だと分かり、ここから超怖いイザベル・ユペール爆誕である。電話攻撃、バイト先の前で佇む攻撃。効果音と共にダーン!と登場するイザベル・ユペールは怖さを超えて笑ってしまう。クロエが振り返ったらそこにイザベル・ユペール!ユペールお化け屋敷か!怖さを超越して笑いが漏れちゃう...。
イザベル・ユペールの連続攻撃に反撃も儘ならぬクロエですが、お友達のアドバイスで平穏にグレタに別れを告げた...筈だったのだが。
もうここからは完全にホラー(ちょいちょい笑いあり)である。ユペール様怖いよ。笑顔怖いよ。氷の微笑かよ。攻撃されても不死鳥の如く蘇るユペール様怖いよ。厳つい男も薬とダンス(ユペール様のアドリブだそうである)で翻弄して一撃である。どこで薬手に入れたんだよ、というかそもそもどうやって暮らしてるんだよ!(根本的疑問)
そう、正直ストーリーとしては、極ありふれたサイコスリラーというか、タイトルロールたるグレタの掘り下げが極めて中途半端である。過去はなんとなく描かれているだけで徹底して人間味がない。唯々サイコパスという描かれ方。伏線の回収はそこそこ上手いのだが(特に最初と最後のリンクね)、登場人物の書き込みが薄いので唯々最恐モンスター、イザベル・ユペールを観ろ!としかいえない。あとは純朴キュートなクロエ・グレース・モレッツの表情七変化(ユペール様が表情をあまり動かさないので対比が良い)と、軽い女と見せといて実は友情に篤く頭の回転が速いお友達エリカことマイカ・モンロー大活躍ですかね...こうして書くと分かるが本当に男の影がうっすい映画だなあ。