劇場公開日 2020年10月2日

「☆☆☆★★ 監督自らが書き下ろした小説版(寧ろノベライズ版と言うべ...」浅田家! 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5☆☆☆★★ 監督自らが書き下ろした小説版(寧ろノベライズ版と言うべ...

2024年3月9日
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☆☆☆★★

監督自らが書き下ろした小説版(寧ろノベライズ版と言うべきか?)は読了済み。

予告編及び小説版を読んだ限りに於いては、かなり軽い感じの家族ドラマだろうか?…と言った印象を受けた。
写真集《浅田家》の存在は知っていて。書店にて実物を1度だけ見た事があり、「ちょっと面白いなあ〜」くらいの印象は持ったのを思い出す。

とは言え。写真家の浅田氏が、それまでどんな人で。且つ、どんな人生を歩んで来たのか?は、全くあずかり知らぬ我が知識。
題材と、この監督の過去の作品を観て感じた傾向から言って、「おそらくはある程度のお涙頂戴的なホームドラマなんだろうなあ〜」…と言った、予想をしながら小説版を読み切ったのが本音。

思った通りに。小説と言うよりは、やはりノベライズ版なのだろうと思いながら読み始める。
細かな描写よりも映像的にも思い浮かびやすい文章で読みやすい。
但し、その分だけ「読み応えとしてはそれは程ないな〜」などと思いながら読み進めて行くと、、、

予告編にて、二宮和也が涙を浮かべながらカメラのファインダーを覗く場面が有ったのを思い出し。「あ!この描写なのだろう?」と直ぐに思いあたる。
それまでは軽い描写が多かったのだが。その場面を経ての、震災を通した写真に纏わるエピソード辺りから、段々と重味と共にやるせなく心を抉る話へとなって行く。

読みながら〝 命をの限りを尽くした想い 〟 や〝 失われてしまった世界と、残された者の無念 〟 等が、滲み出て来ている様に感じて来た。
それら様々な、辛い経験をしたからこそ。胸の奥底に沈殿し続けた《辛さ》の解放を経て。《魂の浄化》へと至る話の展開は、情緒的に流され過ぎる事にさえならなければ。読みながら、ある程度の良作になりそうな気はした。

後半に登場する謎の少女のエピソードが、小説版のラストに繋がる伏線も。しっかりとした演出によって回収されたならは、観ている観客側にはしっかりと愛する家族を想う気持ちが、必ずや伝わるだろう…と。

ここまではあくまでも小説版を読み終わった時に感じた思い。

以下は映画本編を観ての感想になります。

反復される構図と役者の動き。
画面右から登場する子供時代の若菜=黒木華は、「東京へ行く!」と言って、やはり画面右から再び登場する。
そして映画のラスト近くに再度画面右から登場し、優柔不断な政志に対して〝 ある賭け 〟 に出る。

実は子供の時、父親は防波堤での政志をファインダーに捉え。大人になっても釣りをしながら《自分探し》をしている政志に声をかける。
監督自らが書いた原作だと、この場面が原作のラストシーンへと繋がっているのだが、、、完成した映画本編には何故か挿入されてはいない。
原作を読んだ時に、このラストシーンに感銘を受けただけに、どこか梯子を外された思いが強く。とても残念に思ってしまった。
何故?あの大事な、防波堤で佇む《女子高生》へ向けてカメラのファインダーを覗く場面をカットしたのか…と(´-`)

最初の内は、兄のナラタージュ方式で始まるのに、それは途中から無くなり。最後は(たった一度だけだけれど)政志本人のナラタージュで締められるのも、どこか観ていて中途半端に感じてささまい、何となく釈然としなかった…との思いが強かったのご本音です。
尤も、やはりと言うか。高原家の虹で泣いてしまったのは内緒ではありますが…

2020年10月10日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン2

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松井の天井直撃ホームラン