「ジャニーズファンではないが…」浅田家! Koheiさんの映画レビュー(感想・評価)
ジャニーズファンではないが…
この作品の予告編を見たのは覚えている。なんとなく観に行きたいとは思っていたが、それほど熱量が高くなかったので、後回しにしてしまっていた。それに、ジャニーズファンでもない私が観に行くのはどこか気が引けた。主人公・浅田政志を演じた二宮和也が出演する映像作品に触れたことがなかったからである。しかし、実際に観に行ってみると、それはただの杞憂であった。彼のことをよく知らなくても、十二分に作品の世界を堪能することができた。彼には、それだけのオーラがあるということだろう。今頃になって、改めて観に行きたいと思うようになったのは、何を隠そう、黒木華が出演していることを知ったからである。映画「日々是好日」やTBSドラマ「凪のお暇」で主演を務めていて、まじめで控えめな(清楚ともいう)役どころを演じるのに長けていたことが印象的であった。ただ、今回どのような役を演じるのか、前もって情報を持ち合わせていなかった。そこで、彼女が登場したときには、他の作品とはまた違った一面が見られたことを嬉しく思った。外見的なことをいえば、「凪のお暇」のアフロヘアーともいうべき天然パーマが痛烈に印象的であったが、今回はショートヘアーであった。黒髪のストレートヘアーが最も馴染んでいるが、これも似合っている。役どころとしては、二宮和也演じる主人公の幼なじみ(兼恋人・のちに妻)として、彼を猛烈にアシストし、彼に猛烈にアタックする。いわゆる姉さん女房気質の力強さを帯びており、いつもの控えめな感じとは一線を画していたといって過言ではないだろう。また、浅田家のメンバーも最初から最後まで目が離せない。政志の母を演じた風吹ジュンは、いかにも関西のおばちゃんが言いそうなことを言う(舞台は三重県津市なので、関西寄りの東海地方ではあるが)。彼女はどんな役でも自由自在に演じられるのだと改めて感じた。政志の父親を演じた平田満は、主夫として家族を優しく支える。甲斐性がないといえばないのだが、こんな父親も良いなあと思った。政志の兄を演じたのは妻夫木聡である。おそらく、劇場へ足を運んでいるのは、大きく分けて、二宮和也のファンと妻夫木聡のファン、そして、物語の後半に登場する菅田将暉のファンであろう。それゆえ、客席を見渡すと、40代前後以上の女性が多い印象を受けた。それだけ、この映画には存在感のある俳優がそろっているということは十分におわかりいただけただろう。ストーリーについては、公式ホームページなどを読んでいただたいた方がわかりやすいので、ここでは省略する(それに、できればネタバレは避けたいと思える作品であった)。後半は、東日本大震災を取り扱い、センシティブな描写もあるが、写真家・浅田政志の人生には、最後まで目が離せなかった。