「写真愛が伝わる良い映画だった。」浅田家! tackさんの映画レビュー(感想・評価)
写真愛が伝わる良い映画だった。
写真家、浅田政志氏の写真に対する愛や情熱を凄く良く描いている良い作品だった。
私もこの映画が公開されるまで、恥ずかしながら浅田氏の事を知らなかったのだが、
彼の家族写真を、他の職業になり切ったり、またはシチュエーションを設定して撮る斬新さに、
素人ながら面白いアイデアだなと思った。
そして、その浅田氏を二宮和也氏が巧く演じている。
彼の演技を見ているだけで、『ああ本当写真を愛するカメラマンなんだな』と伝わってくる。
二宮氏の等身大の演技はやはり才能かな。
特に、『浅田家』の写真集を出版した後、一般家庭の写真を撮る際に、
入念に各家族からエピソードなどを聞き取るシーンは、
本当に家族写真を大事にする人なんだなと伝わってきて、映画全体に優しさを与えていた。
また、震災で家族を亡くしてしまった人たちが、写真を見つけてみんな『ありがとう』という
言葉を残していくのがとても心に突き刺さった。
奇しくもこのパンデミックに見舞われている現在、世界中で家族に会えない人たちがいる中で、
確かな家族との思い出を伝える写真の大切さを伝えている映画だった。
本当、映画というのは不思議なもので、思わぬ事で時代を彩るんだな、とひしひしと感じる。
『糸』しかり。
ただ一つ気になったのは子役の子の東北訛りがちょっと不自然だったかな。
私自身も東北出身だが、イントネーションが明らかに違ったし、
例えば『なんで?』を『なして?』と言っていたのだが、
2010年代にの4~5歳くらいの子が『なして?』と使うのは
ちょっと違和感があった。
あまり無理に方言を入れないで自然にした方が良かったかな、という印象。
あくまで私の意見だが。
とにかく、素晴らしい作品でした。
きっと日本アカデミー賞に幾つかの部門でノミネートされそうですね。