「家族写真・・・そして絆」浅田家! bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
家族写真・・・そして絆
原作は、この映画の予告編を観て、読みたいと思い既読。映画の内容もわかっているのに、後半は涙、涙…。ある程度の演出はあるにせよ、事実を元にした作品であることが、より感動を呼んだのかもしれない。今年一番の感動作品でした。
幼い時に父から譲り受けたカメラをきっかけに、カメラマンとして歩み出した政志。そして、その家族を中心に、ユーモアたっぷりな家族写真をテーマにした、明るさと笑いを誘う前半部分。一転、後半に入ると東日本大震災をモチーフに、被災した写真の洗浄作業を通して、被災者の苦難や命の尊さ、大切な思い出などの重さが、ずっしりと伝わってくる内容。震災を機に、政志の運命は大きく変わり、被災地で写真を撮る側から修復する側に立った時に、彼の目に見えてきたものは、あまりに切ない現実…。
本作のテーマは、写真や震災を通しての『家族の絆』なのだろうと思う。政志が家族写真を撮る際に、それぞれの家族の歩みや思いに耳を傾けてから、シャッターを押すことに、その家族にとって、意味のある写真として、命が吹き込まれていく。
俳優陣もアカデミー賞を受賞した俳優さんが勢ぞろい。実話を元にした登場人物なだけに、主演の二宮君をはじめ、平田さん、妻夫木君、黒木さん、菅田君たちの演技も、役どころを大上段に構えて演じるのではなく、素朴で温かさのある演技がとても印象に残る作品。
私事ですが、自分の知り合いにも脳腫瘍のたくみ君と同様の4年生の女の子がおり、今も病と闘っている。あの家族の写真を撮る場面は、その子と重なり、切なくて、涙が溢れたが、いつか笑顔の家族写真を撮れる日が来ることを、願わずにいられなかった。
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