「20万人、強制連行、性奴隷」主戦場 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
20万人、強制連行、性奴隷
慰安婦がいたかいないかと言えばいたし、軍であろうが業者であろうが意にそぐわず連れていかれた女性もいたろうし、収入があろうが連日兵隊を相手にしたのは間違いはない。ただ、その数字、表現によって、与える印象が違ってくる。
はじめ、むしろこの映画で言う「歴史修正主義者」の言い分のほうが勝っている。「おや?前評判と違うぞ?」と観ていると、だんだん彼らの言葉尻をとらえ、最後は妄言癖の愚か者のように映し出す。ああ、こういうキリトリの手法を使うのか、と感じた。
結局、右も左も、初めから自分の立っている立ち位置から1ミリたりとも譲歩するつもりはないのだ。証拠がないからと言ってなかったことにはならないし、証言が二転三転するからと言って嘘と断言はできない。しかし、過度の間違いは正してもらいたいと切に願う。20万もの数字に疑問符はぬぐえないし、あたかも日本軍だけの蛮行のような報道は受け入れがたい。各種ハラスメントを唱える昨今の理性の尺度でWWⅡの言動をはかられれても困る。この映画から感じるのは、両陣営の言い分をお互いとも、真摯に真実を見つめ直そうとする姿勢がないことだ。片方は極論を振りかざし、片方は感情をむき出しにする。だから結論は「永久に分かり合えない」ことが明らかになっただけじゃないのか。
この中で、資料館の事務局長の言葉が一番まともに聞こえた。
僕はどちら側か?
その前に僕は、本当の現場を知りたい。意見はそれからだ。ただ、もうそれは籔の中であろう。
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