「女性のことを本当に大切に思うならば...」主戦場 活オコゼさんの映画レビュー(感想・評価)
女性のことを本当に大切に思うならば...
この映画の大筋は別にあるが、ここでは女性の戦場における人権問題の際たるところである、慰安婦問題について、この映画の稚拙な点を述べていきたいと思う。
戦場と性の人権問題だとするには、あまりに日本だけの批判に集中し過ぎてる。慰安婦制度は、元々、強かんや性病の抑制を目的として作られた制度であるという説明がほぼなかった。慰安所はそういった対策施設なので、そもそも戦場と性の人権問題を代表するものとは言えない。
戦場と性の人権問題については、秦氏の分類によるとレイプ型、慰安所型、自由恋愛型があるそうだ。ならば、レイプ型(旧ソと一部の暴走した韓国軍の例など)こそ、戦場と性の人権問題の花形であるはずだ。強かんを抑制しようとした日本の制度を集中的に批判するのはバランスがおかしい。自由恋愛型(英米など)も実質的には民間売春利用であり、女衒の騙しなど慰安所型の問題と違いがないので同列に扱うべき。同じ慰安所型(独など)について全く調べていない、批判されていないのも違和感を禁じ得ない。
杉田氏が「慰安婦とホロコーストを同列に批判するのはおかしい」と述べてたけれど、全く持ってその通りだ。同列に批判したいのならば、日本と同様の制度を持ち、同規模展開していた独の制度との比較でないとおかしい。
独の制度は世界中どこの国でも日本のようには批判されてないし、日本と違って実質的な謝罪と賠償もない。また、米は吉見氏が著書で書いてるように慰安所を何度も計画したり閉鎖したりしてる。それに日韓の用意した慰安所を利用もしてる。日本だけ集中して叩くとスケープゴートのようになってしまう。
しかし、そもそもこの映画では慰安婦問題を主体として掲げているが、そこにスポットは当てられていない。監督はもっと別のところに話を持っていきたいのだ。見てみればわかる。彼らはダシに使われただけだ。結局は深く論じる気もなく印象操作だけできれば、どんな題材でもよかったのだろう。ハッキリ言って、これこそが女性差別だと私は思う。