「ジェネリックマイケルムーア」主戦場 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェネリックマイケルムーア
とにかく良いに付け悪いに付け決して交わることのない、しかしもしかしたら一番隣人であり、背中合せのような関係性を持つ“近親憎悪”と“近親相姦”が両主張なのではないだろうかと感じてしまう。題材とすれば現政権が続く事情ではタイムリーであるし、その構成方法もマイケル・ムーアのそれを踏襲している印象だ。マイケル・ムーア程派手ではないし、舌鋒鋭い訳では無い。一寸ニュースを視ていれば何となくその深度は折込済みだ。実はそれ以上のネタを期待したのだが、まぁ日本会議の黒幕?が出演したのは一番のクライマックスであり、そこは価値があると感じる。只、もう少しエンタメ要素が有っても良かったのではと思うのだが、ふざけすぎだと両陣営からクレームが来るのかな?確かに客層も圧倒的にジジイばかりだし・・・
一応、足の置き場は現政権反対の立場だが、自陣営にも苦言を呈している。余りにも数値に囚われると逆に足下をすくわれるとのアドバイスは確かに的を射ている。こうなると今作品位の温度差で逆の立場からのアンサー作品を鑑賞してみたいものである。
それにライトウィングの錚々たるオールキャストが圧巻である。これだけの世間を騒がせている人物達を取材できたことは敬意を表したい。この世はバランスである。そのバランスが崩れるとき、それはまたあの悪夢の再来であり、しかしその悪夢の被害者は一般人のみである。現在ホットワードである“上級国民”なる者達は、いつの時代もその災いの外にいて、右往左往している人間を見下げながら自分たちの思い描く極楽浄土にほくそ笑みながら今日も高い枕と羽布団でぐっすり眠る。『悪い奴ほどよく眠る』ということだ。
本来ならばバランサーたる人間が出現してくれれば良いのだが、それが“神”ということなのか・・・
追記:後で考えついたが、結局女の敵は女ってことを、当の女性自身はどう考えるんだろうか?国籍や住んでる場所等関係無しに女性同士、その歴史的背景も含めて分かり合える筈なのに、その女性同士が啀み合いをしているんだから、結局つけ込まれる材料を自ずと提供していることにいつになったら気付くのか、それとも感情に流されるのか・・・女性が連帯しないといつまで経ってもマチズモは無くならないぜ。