劇場公開日 2019年7月19日

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「また別の純愛のかたち」アンダー・ユア・ベッド(2019) ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0また別の純愛のかたち

2019年7月21日
iPhoneアプリから投稿

終始、独特な緊張感が漂う。

恋愛の形は様々だと思う。
そして、僕にも、たとえささやかでも希望が打ち砕かれた時のちょっとした絶望感や、それにも関わらず募る想いなどは、これほどではないにしても覚えがある。

三井の千尋を観察する目や耳は、まるで自分の目や耳になって、千尋のやつれた姿や、千尋に対して振るわれる暴力、そして、隷属的なセックスを目撃し、音を聞く。
特に、ベッドの下で聞く音は生々しい。

覗き見ることや、観察することをテーマにした映画は少なくない。屋根裏の散歩者、ヒチコックの裏窓など有名作品に加え、最近の二重生活には場所を移しながら観察するという独特な緊張感もあった。
しかし、この作品の、見守るとも、ストーキングともつかない恋愛感情には、ピンと張りつめた空気感の他に、何か決して救済されることのない悲しさがつきまとう。

代を重ねても交雑せず、美しさを維持した水槽のグッピーのように、三井の千尋に対する想いは美しいままだったのだろう。
しかし、グッピーが水槽の中だけで生きるように、三井自身の想いも外に出ることはなかった。

エンディングは悲しい。
ただ、最後に千尋が三井であると気が付いたことで、三井同様、自分も何か救われたような気が少しした。
これまでになかった純愛の物語だった。

ところで、高良さんの目立たず根暗な男性の感じとか、西川さんも同様に、どこにでもいそうだけど、何か気になるところがある女性の感じが、個人的には印象的で、今の世の中でジェンダーを引き合いに出すのは、どうかとは思うが、安里監督の女性目線の演出なのだろうかと気になった。

原作は、角川ホラー文庫から出版されているとのことだが、僕としては純文学カテゴリーだ。

ワンコ