劇場公開日 2019年8月2日

「オチは驚いた。でも、アリだと思う。」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 船首観音さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0オチは驚いた。でも、アリだと思う。

2019年8月23日
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ものすごい悪評が沢山見受けられるが、世界観は素晴らしいものがある。まだ作品を観に行っておらず、この悪評を恐れて映画を見るのをためらっている層がいるのなら、ためらわず観に行って、自分の眼で判断して欲しい。
とても面白い作品だと思う。この映画を通してドラクエの世界観を肌身で感じて欲しい。この映画は、「ドラクエの世界を3D再現する」という大仕事をしっかりと成し遂げたものと思う。オリジナリティも混入しつつ、主人公が勇者となって世界を救うまでの行程が原作に沿ってスピーディに描かれている。
100分と言わず、140分くらいでやってくれたなら、もっと情景的な描写も出来、さらに世界観に引き込まれただろうが、予算の関係なのか、あっという間に見終わってしまった。また、そのために主人公は力による交渉でモンスターを従える設定になったことに嫌悪感を抱くファンもいたようだ。
敵モンスターの恩赦システム、原作ゲームでは、本当はもっと優しさに溢れていて、リアルではない。(まぁ、ファンタジーなんでそこはリアルである必要はないのかもしれないが。)
そこを力でねじ伏せていたという描写に切り替えたのは、説明も要らないし時間短縮できると考えたのだろう。ぶっちゃけこのほうがしっくりくるとすら思えてしまって、怒る人も居るだろうが私は納得できた。リアル路線で面白い解釈だと思った。
この映画、観客を飽きさせないよう、ドラクエファンにしか分からないような小ネタを方々に仕込んでいる。ドラクエファンでまだこの映画を見てない人たちは、是非探してみて欲しい。
監督・制作スタッフのみなさんには、この映画を作り上げてくれたことに感謝したい。
RPG系はだいたいお城の周りでずっとレベルあげをしてた私は、ギリギリの戦いや絶望的な戦況におちいるということがなかったが、この映画の主人公たちはそういう女々しいレベリングをしたりしない。巻きで冒険するので、成長の実感よりも敵とのバトルイベントが多く、なかなか爽快だった。
最後の最後で裏切られるが、あれには驚かされた。あのオチはゲームを題材とした作品とは相性が良く、私はアリだと思う。勇者たちは実は絶望的な立場にあった。しかしそれでもなお強く輝き、巨悪に挑み、苦難を乗り越え、自分というモノを見極め、それでもたくましく生きていこうとする。
絶望的な立場に立っていたことを突如知らされたことに激昂しているファンが多いが、その技法を受け入れられないばかりに、絶望を越えた先にあるメッセージをくみ取れないのは惜しいことだ。

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船首観音