劇場公開日 2019年8月2日

「クライマックス以上に前半が致命的」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 二度寝さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5クライマックス以上に前半が致命的

2019年8月21日
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酷評が気になって耐えきれず鑑賞。そういう態度で観に行くか、かつて味わった愉しかった時間を手軽に取り戻したくて観に行くかで、評価は大きく変わるだろう。もちろん圧倒的に後者が観に行くわけだが。

いまの形になった理屈はあれこれ想像できるが、知名度に依ったファン向け作品である以上、王道から逸脱する意義が見えない。観客はシャラマン映画を観に来ているのではなく、やっぱりあの世界に浸りたくてやってきているのだから、そこに冷水をぶっかける真似はいただけない。

それ以前にそのゴールを目指したために、前半が映画として致命的に破綻していたことのほうが気になった。

尺の制約のもと、逆算して見せたいところを原作が持つ膨大なエピソード群から抽出しているため、中盤までの状況描写や、キャラクターと観客の感情の推移に必要な間を端折る端折る。

その結果、エピソードが細切れなのに、そのひとつひとつがお定まりに満ち、あらゆるものが異様な軽さを伴い、いまここで観ているはずなのに何ひとつ確かな感想が残らない。

ゲームの物語はやはり数十時間の体験を伴ってこそ。それを2時間にも満たない形にするなら、全体の圧縮ではなく一部を抜き出すだけにするか、いっそ1クールくらいの連続ドラマにして例のクライマックスを迎えたなら、単に賛否が分かれる程度で、ここまで酷評されなかっただろう。

ただ、おもに監督が批判に晒されているようだが、企画の時点、もしくは全体像が見えた時点でこの結果を読めなかった製作委員会がダメ。絵は魅力的だし、戦闘シーンは贅沢。監督は制約のなかで奮闘したほうではないか。

二度寝