「では、何が評価を下げているのか」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 鯖缶さんの映画レビュー(感想・評価)
では、何が評価を下げているのか
CGとドラクエV部分の評価に関してはまずまずと言ったところです。
好みにもよると思いますが、☆2.5~4くらいはあっても良いと思います。
ラスト間際のシーンをどう読み解いたかで評価がガラリと変わると思います。
・良く評価する場合
今まで見ていたリュカの物語はゲームだったのか!
そりゃそうだよねゲームのお話だもの。
でもドラクエVは感動できるゲームだったし思い入れもあるから、 たかがゲームなんて言われたくないよね。
そういえばゲームなんてやめて大人になりなさいなんて言われたなあ…。
この主人公も俺と同じでたまに子供時代を懐かしむ大人ってことだよね…。
・悪く評価する場合
今まで見ていたリュカの物語はゲームだったのか!
今まで応援してビアンカやアベルはただのCGだっただと?
この主人公がゲームしてるのを見せられてただけ?
ていうか誰?
ワクチンを手に入れるために何か特別なことしましたっけ?
主人公、何も解決してないし、何の成長もしてないのでは?
主人公が何も変わらないとすると、ドラクエV部分の意味は無いのでは?
そもそもオチを予感させる伏線なんてあったか?
といった感じでしょうか。
良い評価点はかなり憶測に頼ってしまう一方、悪い評価点は心に素直に書いてしまうので量が多くなってしまいました…。不公平で申し訳ないです。
自分はこの映画を低評価のカテゴリ、それもかなり悪い方に入れています。
まず主人公のあり方について。
作劇法はそれが全て、という訳では無いですが、物語を作るときには話の前後でキャラクターが変化・成長している必要があると言われています。
冒険活劇の場合は特にそうです。
この映画の場合、あのシーンの前まではリュカが主人公です。
リュカは冒険を経て、少なくとも物理的には成長しています。
(あとから思い出すと精神面に何か変化があったかは怪しい所…ですが、
それも「十分に育った大人がゲームをプレイしているから」だとしたら腑に落ちてしまいますね…
(意図した物の場合その仕掛けに意味があるかは甚だ疑問ですが))
悩み、傷つき、歩を前に進めるリュカに感情移入して見ていました。
ですが、そんなリュカは成長とは無縁なストーリーをなぞるだけのゲームのキャラであり、急に出てきた男こそが主人公であると。
だとしたらこの男が今までのゲームプレイを汲んで、何か成長したのでしょうか?
どうやらそうではないようです。
そして、この男がどういう人間なのか解らないため「ただのゲームなんかじゃない!」という主張に共感しようもない。
急に出てきて特に対価を払うでもなく事件を解決したぞ!と言われても困ってしまいます。
そしてあの展開について。
それまでに違和感を感じる箇所は、確かにありました。
ですが、それはほんの些細な物で、この物語世界自体が主人公のプレイしているゲームであるという疑念を抱けるものではありません。
そんな状態で今までの物語は全部CGで出来たデータに過ぎないと宣告される。
虚構の世界に身を委ねて物語を楽しんでる相手にドッキリをしかけるには、あまりに情緒に欠けるとおもいます。
引っかけられる人を第三者目線で見ているからこそドッキリを面白がれるのであって、本人的には驚く以外のリアクションが取れないわけです。
結果的に、ドラクエ部分は虚構であり、主人公になんの影響も与えていないと言って良いと思います。
主人公に影響を与えたのは、映画で描かれてない、過去のSFCのドラゴンクエストVです。
この描かれてない過去に共感した場合、それなりに評価する事になるのかもしれませんが…。
自分の中では「サラリーマンの男がVRゲームをしていたらドッキリを仕掛けられ、いい年してゲームをしている事をdisられたので文句を言ってからゲームをクリアした」というストーリーとして評価しました。
>伏線としては、「今回の」と薬を飲んだ時の自己暗示の表現ですかね。前者は露骨過ぎて鼻白みましたけど、ギャグのつもりかなと流してました。
自分はループもの…?いやゲームを頭から何度もプレイしている…?と考えていました。
なのでこの伏線自体は機能していると思われます。
ただ、この伏線、「実はゲームである」という伏線にはなってるのですが、「ウィルスがラスボスに成り代わっている」という伏線にはなってないんですよね。
だからウィルスが出てくるときに激しい拒否感を感じるのかなと思いました。
>個人的にはコレ、ファン向けより普段ゲームしない人達に宛てた作品なのでは?と思ってます。そう考えると色々合点がいったので、悲しみは少しだけ紛れました。騙された事は変わらないので、低評価は変えないですけどw
ウケてる人も居るところを見ると「山崎監督の作品は実はものすごく人を選ぶけれど、今まで巧妙にカバーしていたのかもしれない…」なんてことも思いました。
色々思いを巡らせてはみるのですが、トータル低評価なのは変わらないですね…
伏線としては、「今回の」と薬を飲んだ時の自己暗示の表現ですかね。前者は露骨過ぎて鼻白みましたけど、ギャグのつもりかなと流してました。
個人的にはコレ、ファン向けより普段ゲームしない人達に宛てた作品なのでは?と思ってます。そう考えると色々合点がいったので、悲しみは少しだけ紛れました。騙された事は変わらないので、低評価は変えないですけどw