「『僕にとってのドラクエ』ではないことは確か」ドラゴンクエスト ユア・ストーリー フェルナさんの映画レビュー(感想・評価)
『僕にとってのドラクエ』ではないことは確か
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僕にとってのドラゴンクエストとは、自分が勇者になりきって、良心にならって世の悪を晴らすという物語です。世の中の汚れや悪意こそが敵であり、大きすぎる敵を仲間とちからをあわせて倒すという醍醐味を味わうことができるゲームです。
しかし、この映画は、ゲームに没入し、その醍醐味を味わう『僕』を許しません。『現実を見ろ、所詮はゲームだ』という製作者のメッセージを、一番没入して心が移っているところに何の前触れもなく投げ込んできます。まるで、僕が心のドアを開けていたら突然虐殺者がやってきて心に火を放つように。
ホラー映画やトリック映画ならこのような手法はあるかもしれません。ある意味で、裏切られたという驚きや感動もあるかもしれません。
しかし、ドラゴンクエストブランドを信じていた僕にとっては、あまりに衝撃でした。夢や希望を否定され、その救済もないままに放り出されたと感じました。
そのような映画ならば、最初からもっとうまく伏線を張って、精緻にストーリーをつくるべきです。謎を謎として、未知の敵として、視聴者に対峙させるべきだと感じます。
アイデアが発散したまま、ストーリーが練りきられず、なんとなく感想は視聴者に委ねるみたいな、理屈で辻褄をあわせるみたいな、半端な映画でした。
理屈が好きな視聴者は、その隙間を楽しむことができるかもしれませんが、僕はドラクエを見たかったので、残念でなりません。
最後に、アニメーションは素晴らしかったです。表情豊かでドラクエ愛を感じられ、心があたたまりました。
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