「オリジナル版と観比べたい独特なテンポが印象的なカルト作品」スノー・ロワイヤル よねさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナル版と観比べたい独特なテンポが印象的なカルト作品
雪深い小さな町キーホーの除雪作業員ネルズは町の模範市民として表彰されるほどに実直な男だが、町の空港で働く一人息子カイルが行方不明となり、遺体で発見されてから生活が一変してしまう。死因がヘロインのオーバードーズという警察の説明に納得がいかず絶望の淵に立たされたネルズはカイルと一緒に行方不明となっていた青年からある事実を知らされ・・・からの全然笑えないトラジコメディで、『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』というノルウェー映画のリメイク作品。
オリジナルと本作の両方を監督しているハンス・ペテル・モランドの作家性なのか、なんともすっとぼけたテンポの作品。人が死ぬたびに画面が暗転して死者の名前とあだ名が表示されるのがなんともシュールだし、一人また一人と悪党を殺していくネルズが毎回金網で丁寧に包んでから川に死体遺棄する様もやけに淡々としていて牧歌的。家族を亡くした悲しみなどを特段踏み込んで描くわけでもなく、重要でも何でもないやりとりをぼーっと見つめている感じで、死体の山が積み上がる惨劇もダラダラしていて何のカタルシスもない。とにかく終始近所を散歩しているかのようなユルいテンポで、何を観せられているのかと呆然としているところにいきなりポーンと放り込まれるエゲツないオチも取ってつけたような投げやり感が凄い。正直メチャクチャくだらないですが何だか得体の知れないクセになる何かが滲んでてキライになれず、もどかしい余韻が脳裏に残ります。全然オススメできない作品ですが未見のオリジナルが気になってしょうがないです。
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