窮鼠はチーズの夢を見るのレビュー・感想・評価
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行定監督の圧倒的演出
演者と行定監督の絶妙なハーモニーが言葉を持たぬ声を観客にひしひしと伝えてくる。
成田凌の目線や一挙手一投足全てが切なく美しい。他の人には絶対にできない素晴らしい演技。それを受け止める静かに人物像が沸き立つような大倉の存在感や生っぽさみたいなものも必見。他にもこの作品で大きな意味を持つ女優陣の演技も鋭く繊細で素晴らしかった。
全てを言葉台詞で任すのではなく、映像描写として見せてくる。なので、原作漫画よりも圧倒的に人物達の台詞は少なく構成されているが、実写映像化としてはかなり見応えがある。
また、キーとなる小物が複数存在するが、観客にも一部の記憶として思い出して切なくなるような描かれ方がされている。街角で似たような小物を見たら「あ、」と思ってしまうんじゃないかというくらい。そのくらいの存在感として画面作りがされているのも脱帽する。
成田凌の魅力に引きずり込まれる
ノンケのBBAです。
そこまでBLの免疫が無いので、絡みのシーンに面食らいましたが
よく考えたらノンケ男にとっては一番ネックになる部分ですから、そこを描かずにどうするよ!!ってことですよね。R15です。
いろんな感情が渦巻くさまが終始スリリングに描かれるので、ちょっとした視線や態度からも目が離せませんでした。
お互いの思いが重なったり、すれ違ったり…。
そして、二人のバランスが崩れてる度に別れが訪れるのですが、それぞれの“別れ”は段階を経て意味あいが変わっていきます。
距離感への躊躇だったり、苦しみからの逃げだったり、相手への思いやりだったり。
そしてそれは同時に、一人の男の自我の崩壊と再生を、段階を経て丁寧に追っていく作業でもあると感じました。
これまで自分が身につけてきた社会的な常識や、自然に受け入れていた価値観を壊すってもの凄いことですよね。
戸惑いから始まり、抗えない自分の感情に驚き、迷い、葛藤し、そして今までの自分自身を自らが壊す覚悟と勇気。
それらの過程の心の動きを、じっくり追体験させてくれる映画でした。
好きなシーンが沢山あって、観た人とネタバレを気にせず話したくなります。
私の周りにはそんな相手がいないので、一人で反芻して楽しんでいますが(^^;)
それぞれの思惑が交錯する食事シーンが良いです!
家でまったりTVを見ているシーンも素敵。
外でオープンにしていないぶん、部屋の隅々にまで二人の思い出が詰まっていて
とくに、たまきちゃんとの部屋のシーンは、えげつなくお気に入りです。
お互いに感じている事が違いすぎていて辛い。
そして、何と言っても成田凌くんの魅力と説得力に引きずり込まれます。
成田凌くんが可愛くて可愛くて。
一途な想いがいじらしい。
一緒にいるのも地獄、離れるのはもっと地獄な苦しさから解放してあげたくなる気持ちもわかります。
成田凌くんでないと、この生々しさは出なかったと思うのですが
監督の話によると、成田サイドは脚本を読んだ段階でどちらの役でもOKだったそうです。
確かに。。大伴でもハマりそう。
ちょっと見たい気もしますが、大倉くんの残酷さも非常に良かったです!
誰にでも優しくてソツがなく、いつも受け身で言い訳出来るポジションにいた男。
そんな男のラストの姿が、心から消えません。
私は自分の事をノンケだと思っているけれど、そもそもヘテロって何だろう?
生まれながらの趣味趣向はあるにせよ、ある男の自我の崩壊を追体験する事で、そもそも人を愛することに、そんな垣根は無いように思えてきました。
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