劇場公開日 2020年9月11日

「これはこれで。」窮鼠はチーズの夢を見る 茉恭(まゆき)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これはこれで。

2020年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作既読。主演の二人のイメージはちょっと原作とは違うけれど、まぁ、これはこれでという印象。妻夫木街道(妻夫木→池松→という使い勝手がいい役者)まっしぐらの成田凌が、アッサリ目の今ヶ瀬を演じたのだけが、ちょっとだけ口惜しい気もするけれど、ドロドロ醜態劇が今作の目的ではないので、120分でいかに収めるかと考えた時、これは適当な選択だったと思う。

ジャニーズの大倉が、よくここまで濡れ場をやったなというところに感心したし、腐女子もゲイも大満足の全裸シーンも大盛り込みで、監督はじめスタッフも演者も頑張ったなぁというのがどうしても先に言いたくなる感想ではある。

本作のテーマもなにも知らない方が、もしかしたら世界観にどっぷりハマれて、誰かに共感できたのかもしれない。
私も30すぎた時に恭一と同じようなことを感じていたなぁ、もう恋愛よりも大切なことがあるって思ってたなぁって思い出しました。
寂しくなってしまうんだよな、あれって。

水城せとなの世界観は、斜め75度くらいから世の中を捉えていて、忘れていた瘡蓋に痒みを再び感じるようなソレに似ている。
きっと、皆の心にも一度は通り過ぎた切なさを表現している。
そういった意味では、この作品は上出来だと私は思う。

茉恭(まゆき)