劇場公開日 2021年10月15日

「幕末を生きた若者たちの激動を、かつて武田鉄矢氏は『幕末青春グラフィ...」燃えよ剣 じょんそんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0幕末を生きた若者たちの激動を、かつて武田鉄矢氏は『幕末青春グラフィ...

2021年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幕末を生きた若者たちの激動を、かつて武田鉄矢氏は『幕末青春グラフィティ』と題し、つかこうへい氏は『幕末純情伝』と銘打った。
死線を渡り歩くような日々であっても、それぞれの信じる未来と誠に向かって突き進む姿は紛れもなく彼らの青春であり純情であっただろう。
『燃えよ剣』は同タイトルの司馬遼太郎の小説が原作となっているが、新選組の勃興から崩壊までを描くのに2時間半では少々無理があったかな・・・。
必然的に人物の掘り下げは浅くなり、清川八郎や伊東甲子太郎にいたっては出てきたと思ったらすぐに殺されてしまう。
土方歳三の回顧録という形をとるのであれば、もう少しエピソードを絞っても良かったのではないか・・・。
個人的には戊辰戦争から会津・函館五稜郭に至るまで、時代に抗いながらも己の誠を信じて戦う土方の苦悩や、男気をもっと描いてほしかったかな。
また原作では土方・近藤・沖田の3人が武州の訛り言葉で軽妙なやり取りをするシーンが頻繁に出てくるのだが、映画ではちょっと物足りなかった。
同じく原作では頻繁に出てくる濡れ場(。-_-。)や、新選組崩壊の一因として語られる男色(。-_-。)のシーンはほぼ皆無。
それでもアクションに定評のある岡田准一さんの剣戟シーンは素晴らしく、新選組がダンダラ羽織ではなく黒ずくめの隊服というのもかっこよかった。
彦根市鳥居本町にオープンセットを作って撮られたというい池田屋事件は、都大路を疾走するシーンが迫力満点。
芹沢鴨役の伊藤英二さんの悪キャラぶりや、土方に一途な愛を貫くお雪役の柴咲コウさんも美しかったが、隊士の山崎蒸を演じたウーマンラッシュアワーの村本大輔さんが意外にも良かった(笑)。
いささか美化しすぎの面はあるが、ほんの150年ほど前に若者たちが己の信じる未来のために血を流した時代があり、それを礎に今の我々があることを再認識するには良い映画だと思う(´ー`)。

じょんそん