「筆舌に尽くし難し」燃えよ剣 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
筆舌に尽くし難し
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素晴らしかった…。
海外の知り合いから「何かお勧めあるか?」と聞かれたら、真っ先にこの作品を挙げたい。
目を惹くのは、圧倒的な存在感を放つロケ地の数々。作り込まれたセットもいいけど、この堂々とした佇まいというか、荘厳な居住まいというか…これらの風景や建造物を選択し、作品の一部として後世に残した監督の偉業を讃えたい。
登場人物達が纏う所作も美しく、久しぶりにホントに久しぶりに「時代劇」を楽しんだように感じる。
土方の独白で構成される物語は、とても魅力的で語り部たる本人の半生に思いを馳せる。
あんなにチャーミングに土方を描いているとも思わず嬉しかった。きっと沖田役の山田氏の功績もあったろうと思う。役者陣は皆様、生き生きてしてて瑞々しく、特殊な口調に全く違和感も覚えずで…ホントに素晴らしかった。色んな「新撰組」を観てきたけど、今作のキャラというか、その解釈は全部好き。
というか…初めて様式美ではない新撰組に出会ったような気がする。
等身大の隊士たちってのは夢想が過ぎる感じもするけど、物語の中の登場人物じゃない気がした。
なんか、そう思うと…煌めきや儚さに泣けてくる。
お雪のいじらしさに泣かされる。
何に琴線を揺らされたのだろうか?自分でも分からず、頬を伝う涙で気がつく始末。
違和感があったとするなら編集くらいだろうか?
原田監督にしては珍しい編集のように思えた。
全然悪くなくて、むしろ俺は好きだった。
なんていうか息遣いまで感じ取れそうな距離感を覚えたので。
また、撮って欲しい。
「関ヶ原」はあまり好きではない。
圧倒的に違ったのは、作品世界に対する集中力だったような気もする。
日本の映画界には、まだまだ原田眞人は必要だと思う。
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