「もっと焦点を絞って組織に生きる個性を描いてほしかった」燃えよ剣 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
もっと焦点を絞って組織に生きる個性を描いてほしかった
司馬遼太郎の「燃えよ剣」は読んだことないが、同じ新選組を描いた「新選組血風録」は何回か読んで、とてもおもしろいし、いまも読むときがある。新選組隊士のそれぞれの個性を淡々と描いていて、リアルに想像できる筆致だ。
今回の映画は、どこを切り取るかってところに注目したけれど、すこし俯瞰的にすべてを盛り込んでいて、駆け足になってしまっているのは否めない。
個人の好みにもよるけれど、わたしは池田屋事件に至るまでを描いても十分な時間がとれたのではないかと思うし、その分、隊士の個性やエピソードを描いてほしかったし、映像の静かな間ももっととれたと思う。
組織に連ねる個人。烏合の衆がどうやって命を懸けるほどの集団の結束につながったのか、それぞれの個性はどうだったのか、もっと焦点をあてることで、自ずと葛藤やその感動が伝わったのではないかと思う。
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