「滅びゆく者の美しさ」燃えよ剣 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
滅びゆく者の美しさ
この監督さんの直近の三作品は、どれもこれもガッカリな出来だったので、思いっきりバーを下げて観に行ったら、意外とまともな作りでした。長大な作品を土方のモノローグで説明するのは上手い方法で、多くのエピソードをテキパキと描いていくので中だるみもなく、2時間半ぎっしりの内容で堪能できました。一方で、各エピソードが細かくなり、登場人物が入り組んでいるので、原作や幕末に詳しくないと分かりにくいかも。土方のモノローグ形式なら、エピソードを刈り込んでメリハリをつけて、クライマックスの箱館戦はもっと盛り上げてほしかったです。侍の時代が終わりつつあるのに、百姓の子が侍になり侍として死んでいくという、滅びゆく者の美しさが今ひとつ感じられなくて、ちょっと残念。岡田准一は、彼の代表作とも言えるハマり役。柴咲コウのすがるような瞳には、やられた〜って感じです。
今晩は
私は、レビューでも書きましたが、原田監督がスケールの大きな近作の時代劇「関ケ原」岡本喜八版があるにも関わらず製作した「日本のいちばん長い日」毛色の変わった「駆け込み男と駆け出し男」が好きでして。
現代邦画監督で、これだけのスケール感を持った映画を製作できる監督は非常に貴重で、尚且つ内容も面白い。
今作もある程度、近代の知識が有ればより良いのかもしれませんが、私の隣(市松模様)で鑑賞していたお若いカップルが、”良く分からない所もあったけど、面白かったね”と客電が上がった後に言葉を交わしていたのが、印象的でした。(パンフが、バンバン売れてました。「関ケ原」の時も・・。)
私は勝手に原田監督を日本の”リドリー・スコット”と思ってます。(その作品制作に関わる裂帛の気合溢れる姿勢にも敬服を込めて。)
では、又。