「リングファンは怒ってもいいレベル」貞子 HAPPYさんの映画レビュー(感想・評価)
リングファンは怒ってもいいレベル
これはひどいの一言。
まず、全体的に地上波ドラマのような明るい雰囲気でした。
内容はもちろんホラーですが、初代リングのようなこれぞ邦画ホラー!というようなジメジメした雰囲気は全くありません。
観ている側を怖がらせようとするシーンもいくつかありましたが…(いきなり効果音が鳴って脅かす演出など)間のとり方が下手過ぎてびっくりすらしませんでした。
唯一、岩場に引き込まれるシーンだけは少しビクッとなりましたね。
でも怖さではなく突然の効果音で驚いただけ。
リングや、貞子VS伽椰子では呪いの定義がしっかりとありました。
ビデオを観たら数日以内に死んでしまうというあれです。
貞子の設定で一番大切なのが、呪われてから数日猶予を与えられその間に登場人物が右往左往する所にあると思っています。
貞子3Dでもビデオではないものの、呪いの動画というものを観ると呪われてしまうというしっかりとした設定がありました。
しかし、今回は撮影すると呪われる?…という、呪いの定義が曖昧なものでした。
また、今まで貞子はテレビやモニター等から出てくるのが恒例でしたが…それは呪いのビデオや呪いの動画の存在に紐付いたものだったのです。
今回は、呪いのビデオもなければ動画もない上に、テレビを使わなくても貞子は普通に何度も出てきます。
しかしながら、貞子といえばTVから出てくるあのシーンを入れなければならない!という制作側の事情があったのでしょう。
なんの脈略もなく病院のテレビに呪いのビデオの井戸シーンが映し出され、そこから貞子が出てきます。
普通ならそこで怖がるべき所なのでしょうが、あまりに突然で笑ってしまいました。
もはやあれはギャグです。
しかも、動画を撮影すると呪われる?という定義もその病院のシーンで崩れました。
襲われたのは、動画を撮影してすらいないおばさんだったからです。
昔のリングの映像も出てきましたし、貞子との関わりはあるキャラでしたが…。
今回は貞子の生まれ変わりとされる少女の存在のせいで、呪いの定義がさらに曖昧になり、観ている側を混乱させるばかりでした。
まとめると
・怖さはゼロ
・TVから出てくる理由もないのに唐突にTVから出てくる貞子
・怖がらせるための仕掛けが下手
・箸にも棒にもかからない薄っぺらいストーリー
です。
この映画、初代リングと同じ監督…ということで更に驚いてしまいました。初代リングのジャパニーズホラー感は全く引き継がれていません。
例えるなら、TV番組の再現心霊ドラマのような安っぽさです。
これは、昔からのリングファンならば怒ってもいいでしょう。
賛否ありましたが、ギャグに振り切った前作の貞子VS伽椰子の方がよっぽど観る価値がありますよ。
ギャグと言っても今回の映画よりはよっぽどホラーシーンが有りました。