劇場公開日 2019年5月24日

  • 予告編を見る

「これからのJホラーの方向性、可能性」貞子 ゴンベッザさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これからのJホラーの方向性、可能性

2019年5月26日
iPhoneアプリから投稿

4DXで観ましたが
怖さ倍増しです、面白かった。

小中千昭監督が昭和63年に「邪願霊」で示したJホラーの可能性
鶴田法男、小中千昭両監督による
Jホラーにおける表現法「小中理論」を形作っていったほんとにあった怖い話シリーズ、その代表作「霊のうごめく家」
高橋洋脚本、中田秀夫監督タッグの「リング」の原点「女優霊」
そして、Jホラー一つの到達点が「リング」

他にも「ほんとにあった呪いのビデオ」、「呪怨」、黒沢清作品群など言い出せばキリがないので省略します。

今、我々が当たり前に観て怖がり
一丁前に批評してるジャパニーズホラーは平成の時代に誕生した新たなジャンルの映画です。実は、まだまだこれからのジャンルなんです。

時代はVHSからDVD、Blu-ray、そしてストリーミング配信やYouTubeに移行し、
画質は良くなり、4:3から16:9に、画面にはノイズも走らなくなりました。

だからこそ今敢えて「貞子」を作る事に意義があると思うのです。

何箇所か「ん?」ってところ、確かにありましたけど、笑
そこは作品の怖さとか面白さと、本質的に直接リンクはしないじゃないですか。

Jホラーの文脈で観ても
今回の貞子、しっかり攻めつつ、往年の手法も冴え渡り、ファンにも始めて観る人にも丁寧な作りで、令和のジャパニーズホラーの方向性を探るような作りにもなってて、凄く面白かったです。
例を出すと
Jホラーで殆ど始めてと言って良いほど、中盤で2人同時に同じ恐怖体験をしてみたりとか。

ただ観て、怖くない、面白くない、なんて誰でも言えますよ。
怖いし、面白かったし。

主人公の茉優が1週間弟に連絡してなかったり、少女の生い立ちも調べない、花も変えない、つまり、捨てられた事による潜在的な人への興味の無さが招いた悲劇、だったり
母親がクローゼット内で作り出してた状況こそが実は貞子を生み出すきっかけだったとか、
今回の貞子の能力発生のトリガーとは何か?とか、
ホラーと悲哀の表裏一体を表したともいえる画期的なホラー映画だったりとか、

その辺考えて批判するならしてくださいね、偉い批評家さん方。

令和の新時代、Jホラーはどんな進化をするのか、僕は楽しみでなりません。

ゴンベッザ