人間の時間のレビュー・感想・評価
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極限状況での人間の本質を考えさせられる
誇張された人物造形、露悪的な暴力描写、痛烈な社会批判。キム・ギドクのスタイルが今作にも継承されたが、幻想物とSFと宗教説話と不条理劇をごった煮にしたような設定は、監督のフィルモグラフィーの中でも珍しい。
退役軍艦に乗り合わせたクルーズ客と乗員らが一夜明けて迎える状況は、笑ってしまうような荒唐無稽さだ。それでも、外界から遮断された空間で、物資も限られる時、人はどんな心理状態になり、どう行動するのかのシミュレーションにはなっている。コロナショックで日本でも外国でもマスクや紙製品、食料などが品切れ、品薄になり、社会不安が広がっている。これがさらにエスカレートして集団パニックになったら…本作と重ねて考えると、かなり怖い。
リアリズムから逸脱しつつ、いかに映画として成立させられるかという前衛的な試み。万人受けする娯楽作ではないが、この異色の韓国映画に主演した藤井美菜の挑戦は大いに評価したい。
さよならキム・ギドク
3/4くらいまで乗れないし、お遊戯臭が鼻につき、ああもう無理と何度も思ったけれど、もうこれ以上キム・ギドクは見れないのだと必死に食い下がりました。最後もう完全無法地帯になってからはキム・ギドク様の本領発揮って感じで心地よかったですよ。
笑っちゃうくらいの低評価、もしキム・ギドクをご存知なくこの映画を観てしまったのなら本当に災難でしたね、知っていても低評価なのも十分わかります。私も素直な気持ちなら星3つが相当だろうと思うのです。でも何しろこの先新しい作品は見れないのだと思えば、低評価を下す気にはならないのです。
にしてもですよね、弓とか春夏秋冬そして春のような完璧な舞台設計だの美術だのの世界観が全くできてなかった。スキャンダル発覚後でお金がなかったのかなと思ったけどどうやら作ったあとに発覚で公開に手間取ったと。ってことはこれは万全な体制で作ったのしらね、だとするとちょっと寂しいレベルですね。キム・ギドクにしては登場人物が多すぎてコントロールしきれなかったのかな。
日本公開されてないらしい、この後の2作を見ることを老後の楽しみに生きていきます。
暴力、殺人、レイプと、内容的にはとても人に薦められるような作品では...
暴力、殺人、レイプと、内容的にはとても人に薦められるような作品ではないが、人間の欲望が剥き出しとなる展開は見応えがある。
食料がなくなり、極限状態に追い込まれると人間の肉も普通に口にするようになるという地獄絵図。
藤井美菜が3人の男に相次いでレイプされた直後に妊娠。
男の一人が「さあ、誰の子かな?」とふざけ、美菜もショックを受けるが、レイプされて数日で妊娠するわけもなく、恋人だったオダギリジョーの子どもと考えるのが普通だろう。
そのオダギリジョーの扱いが酷い。
恋人をヤクザにレイプされ、自分はボコボコにされた挙句、ナイフでめった刺しにされて殺され、海に捨てられるという・・・・・・。
最終的に一人生き残った美菜は船上で出産、自給自足の生活をしながら子どもを育てる。
これも一応のハッピーエンドかな、と思ったがまだ終わりではなかった。
さらに十数年が過ぎ、美菜は性に目覚めた息子に襲われ、林の中を逃げながらのエンディングとどこまでも凄まじい。
世界に女が一人しかいないとなると実の母親だろうがお構いなしという、究極の人間の欲望が剥き出し。
すごい作品だった。
許せない、酷過ぎる!!
今年の圧倒的ワースト1位。
観ていてこんなに怒りが込み上げたのはいつ以来だろうか?
※普段自分は多分なネタバレを含んだレビューを書かないようにしていますが、本作に関しては人に一切勧めたくないので、完全ネタバレ込みで書きます。
藤井美菜とチャン・グンソクを主演に迎えたキム・ギドクの新作映画ですが、自分はこんな作品を作り上げたキム・ギドクが許せないです。
それ以前から、正直言うとキム・ギドクは監督としてあまり好きではなく、「メビウス」と「殺されたミンジュ」は嫌いだし、世間から評価されてる「嘆きのピエタ」もそんなに好きでは無いです。
ただ、前作の「The Net 網に囚われた男」は稚拙な所はあれど設定が興味深くて面白かったので、少しだけ彼の評価が自分の中で上がってた頃に本作を知り、知ってる日本と韓国の俳優も出ているので鑑賞しました。
…ですが今は、少しでもキム・ギドクに期待した自分を殴りたいです。
まず、冒頭から酷い。
話の内容は「ある日突然クルーズ船が空に浮いて外部との通信が取れない状況となり、人々が飢餓状態になっていき、善悪の境目が無くなる」という内容は宣伝で書かれていました。
クルーズ船と言ったものの、豪華な客船ではなく何故かボロい軍艦に乗っており、藤井美菜と恋人役のオダギリジョーは「新婚旅行」で船に乗ったという設定。その時点で「?」という感じですが、他のお客さんは皆韓国人で韓国語なのに、韓国人に日本人二人の日本語が通じてるというお粗末ぶりには開いた口が塞がりません。
まぁでもそこはファンタジーとして無視するにしても、問題はまだまだ沢山あります。
チャン・グンソクやオダギリジョー等の有名俳優が出演してるにも関わらず、全員が演技下手またはワンパターンという杜撰さ。
そして、登場人物達が発する台詞回しは説明的だし、自分の主張を押し付け過ぎていてリアリティに非常に乏しいです。
後で詳細を書きますが、空に浮かぶ前の夜のエピソードもまた長い上に最悪です。
ちなみに、オダギリジョーは食事に文句を言ったことで、ヤクザに因縁を付けられて殺されるので序盤しか登場しません。
そして、ようやく船が空に浮きますが、浮いてから乗客の食料問題に発展しますが、何故か政治家がヤクザとつるんで船の事を仕切り始めます。そして、自分達のみ良い食べ物を食べている場面は社会風刺とも捉えることも出来ますが、そもそもその料理は誰が行っている?
乗務員と対立してるので乗務員が作ってるとは到底思えないです。
だいたい食料が底を尽きる可能性があるのに「権力にしがみつきたい」という理由で威張るのは「コイツらバカなの?」と本気で思います。
そもそも自分達も食料が尽きる可能性があるのに豪勢な食事取ってたら自分達の首を絞めるだけです。
映像についても、
カメラのフレーミングは汚いし、後半の暴力表現や人肉の描写についても韓国映画にしては弱いし、映像表現も彼の作品の中でも素人臭いです。
ここからが自分が一番怒りを感じた所ですが、
船が空に浮かぶ前日の夜に、藤井美菜がオダギリジョーと夜の営みを行った後に、何人もの人にレイプされるんです。
ヤクザや政治家、政治家の息子役のチャン・グンソクにまでされてしまうので、何とも胸糞悪いのですが、観ていてあまりにも安直でした。
あと何故か女性は藤井美菜は風俗嬢ばかりだし、ラストでも藤井美菜は自分の子供にも犯されそうになるし、ここまで女性に対しての扱いが酷い映画もあまり観たこと無い。
そういった性暴力の場面を安直に描く描写は個人的に大嫌いで、この時点で観るの止めようかと考えるくらい憤りを感じていました。
そして、藤井美菜がチャン・グンソクに自分を犯したのかを問い詰めると「許して下さい」という発言。
ここで怒りが頂点に達しました!
そして、藤井美菜が後半であっさりチャン・グンソクと行動してる辺り、この監督は性暴力を働いても謝れば許されると思ってるんですかね?
その下りで思ったけど…
キム・ギドク、お前全然反省してないだろ?
「メビウス」で女優に告発された事件のことで一応謝罪してるそうですが、今作の藤井美菜をはじめとした女性達の描写を観ると反省してるようには全然感じられない。
自分はてっきり船が空に浮いてから「人間の負」の部分が出てくるとばかり思ってましたが、最初から人間の「負」ばかり描いていて、キム・ギドクは人間のそういう所しか見れないのか、「負」の部分にしか興味ないのかとしか思えないくらい偏見的に描かれているところがこの映画においての最大の問題点である気がします。
まだまだ突っ込みたい所もあるし、本来ならこの映画に対して1点も付けなくなかったのですが、人間が飢餓状態になった際に暴走していく様は稚拙ながらも少しリアルに描けてたので一応加点しました。
「人間の善悪」の物語にしては負の部分しか描いてないし、胸糞映画にしては「ファニーゲーム」や「マーターズ」のような胸糞の描写に意味を見出だせる作品になってないし、何もかも低俗で怒りばかり感じる映画でした。
韓国では未だに公開されてないそうですが、こんな映画は上映しなくて正解です。
キム・ギドクには本当に失望させられた作品で、今後新作を作っても観るのが憚られます。
エロくてグロい
凶悪なファンタジーで描かれる人間の本能
退役した軍艦がクルーズ船として使われる。海軍士官や水兵がクルーズ船の運航に従事し、乗客は狭い艦内で過ごす。
夜が明けると船は異次元空間にいる。動力は不明だが、海水のない空間を船は浮遊している。
というように、かなり突飛な設定の凶悪なファンタジーである。
うさんくさい国会議員とその息子、新婚旅行に来た若い日本人夫婦。
ヤクザらしいヤクザ、口をきかない不思議な老人、貪欲な売春婦など、わかりやすいキャラクターを持つ者たちが、逃げ場のない艦内で、生き延びるために本能をさらけ出す。
船は、地球の比喩であり、未来へのかすかな希望であるノアの箱舟の比喩であろう。
生き物が何のために生きるのかを考えると、生殖して命をつなぐため、というよくわからないことになる。
そのために必要な本能として食欲と性欲が生き物に備わっているのであれば、食欲と性欲を理由とする人間の悩み、もめごと、争い、犯罪は、いつか人間が滅びるまでなくならないであろう。
愚かな人間を描ききった極北の傑作
社会や人間に対する絶望があった。
もとは軍艦であったクルーズ船が旅行客を乗せ航海に出た。閉ざされた空間での暴力。いきなりヒロインの藤井美菜が犯されまくるし、恋人のオタギリジョーは逝ってしまうし、常識を覆す展開に。
一夜明けたら船は未知の空間にいた。そこから逃れる術はない。国会議員とヤクザによる独裁。限られた食糧の不公平な分配、暴力による弾圧、そして殺戮。食糧がなくなれば人の肉を食らう。
とことんハードな内容だが、思えばすべて人間がやってきたこと。特別なことは何ひとつない。
人類の悲劇の歴史をデフォルメしたような今作。実にインモラルで観る人を選ぶが、愚かな人間を描ききった極北の傑作だ。
今年の外国映画のベストの一本だろう。
空前の駄作 金貰っても無理
一体何を見せられたのか、後悔してトラウマになる程の体験。
エログロ・ナンセンスムービー。ホラーでもゾンビでもSFでもアクションでもない。
ただただ、レイプと殺戮と、血みどろ人肉食いのオンパレード。
設定も唐突で、脈略も伏線もなし。スプラッターファンタジーか?
ヒロインと旦那(なぜか日本人)以外の30人は、クズ人間ばかり。
極限状況での人間の粗暴な本能行動を描いたとか言ってるが、
その前に普段からすでにレイプが当たり前のクソ野郎ばかり。
韓国人の民度がこの程度かと世界に発信したいのだろうか。
出航して直ぐに食べ物への不満爆発が異常。
国会議員だけが良い物食べてると騒ぎになるか? いくら払ったツアーだよ?
部屋が不公平だとか・・日本人なら絶対起きない暴動だ。
緊急事態の後で配給されたオニギリ1個を「こんなんで足りるか?」と怒り出し
食べる前に投げ捨てるとか、目が点。食べてから文句言えよ。
仕方なく死んだ人間の肉を食べるにしても、焼いて食えよ。生とかありえん。
火が使えないわけでもないのに、サバイバルの工夫する気ゼロ。
手榴弾で爆死した死体が、損壊してないとか、詰めの甘い設定や描写・・
全てが稚拙で低能。 中学生がスプラッター作ってみました的な作品。
サービスデーの料金でも、高い! 吐き気が残って被害甚大・・
巨大な夢の旅客船
レビューする気にもなれない
人間の時間、ムムムの時間
藤井美菜さんも、オダギリジョーさんも、韓国語でやったら良かったのではないか。
藤井美菜さんは才女で、韓国語も堪能らしいし、オダギリジョーさんもあの程度の出番だったら、韓国語も大丈夫なのではないだろうか。
それに、韓国語のセリフの中にちょいちょい入る日本語の会話は、日本語の間や抑揚みたいなのも変な気がする。
オダギリジョーさんは好きな俳優さんだし、藤井美菜さんは、100分de名著の朗読で見て以来のように思うが、やっぱり美人だなあと思う。
日本の映画や舞台や、ドラマにも、もっと出れば良いのに。
大根なんだろうか。
鈴木京香さんだって、俳優デビュー当時は、大根だと揶揄されてたんだから、ドンマイだ。
映画の内容は……。
なんかタイトルだけが独り歩きして、発想が良いとも言い難い。
最後の場面は、天空の城ラピュタみたいだった。
帰り際に、韓国や日本の新聞の評価のコピーを、何が書いてあるのかチラ見したが、人間の本質に迫るとか書いてあって、またまたーって、適当なこと書いてーって思いました。
因みに、イヴの息子は何語を話すのだろう。
あー、藤井美菜さん美人だった。
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