センターラインのレビュー・感想・評価
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自主制作ながら、未来を描く具現力はたいしたもの
自主映画という枠組みから考えると、この作り手が持つ「時代を先読みする力」とそれを「物語へ落とし込む能力」、さらには手を伸ばせば触れられるほどの近未来を「具現化する力」は見事だ。デジタルを感じさせずアナログ的な温もりを際立たせているバランス感覚もとても独特だ。
全編にわたってギッシリと、あふれかえるような台詞の量にも最初はギョッとするが、大事な部分は念を押して伝えられるので、内容がわからずとも混沌に陥ることはない。
これほどの優れた点とは裏腹に、どちらかというと映画的というよりTVドラマ的というべきか。もしかすると、そのどちらにでも転ずることができる試作品としてこの「自主映画」という表現方法を選択しているのならば、この作り手はやはり只者ではないなと思う。そして主演の女優さんも真っ直ぐな瞳の輝きが魅力的。もしも業界内で新たな才能を発掘する人がいれば、この監督と女優はチェックして損はない。
【”AIが感情を持った時。”人工知能の感情の有無を描いたSF法廷サスペンス作品。】
■自動車の自動運転技術が発達した安全な時代、平成39年。
自動運転車に乗っていた女性AI研究者深見が死亡する事故が発生した。
逮捕された自動運転AIは、自らを「MACO2」と名乗る。
そして事故に対して、「誤動作ではなくわざと事故を起こし、殺した」と供述する。
◆感想
・失礼ながら、出演した俳優さん達の演技は拙いが、テーマが現代でも議論されている”AIの進化が進むと人間の仕事が減って行く。””AIに感情はあるのか?”と言う点で面白かった作品である。
・ストーリー展開も捻りが効いていて、ナカナカである作品だと思う。
<近い将来、人間社会の中で、AIに頼る社会が来るのは間違いないが、”共存共栄“出来るようになるのであろうか。AIが心を持つのは罪なのか、と言うテーマで描いた作品。>
法廷劇として観ても面白い
AIが人を殺しましたって話なんだけど、有罪を立証しようとする検察官と無罪を勝ち取ろうとする弁護士が火花を散らす法廷劇として、そこだけ観ても面白いのね。被告がAIでなくて、法廷に行くと取り調べと全然違うこと言う人間の容疑者だったとしても、面白い映画だったと思う。
その面白さの上にAI話が来るからね。感情ってなんなんだみたいな話が入ってきて、観ちゃうね。うまいなあと思ったのは、主人公を女の人にしたところだね。幼いAIを『辛かったね。でも、もう大丈夫だよ』って母性で庇うように観えて、観客もAIに感情移入していけんの。
「女性だけに母性があるわけじゃねえだろ」って言われたら、まあその通りなんだけど、この作品の内容なら、男性より女性主人公の方が合ってると思う。
主人公の吉見茉莉奈さんも良いんだよね。舞台の人かな。自然な演技でうまいの。他の人達も、みんな有名じゃないんだけど、役に合ってて自然で良かった。演出がいいのか、キャスティングがいいのか。
僕が観に行った会はアフタートークが柏原寛司さんで「この話は主人公のキャラクターがいい。それで観れちゃう」って言われてて、そうだなあって思った。確かにキャラが立ってるから、それだけで観ちゃうね。
「AI」「自動運転」っていうキャッチーなネタが入ってるから、そこを中心に観られがちなんだけど、それを支える物語がしっかりしてんだよね。脚本・監督の下向拓生さんに力がある。
恐らく多くのひとが思ったんじゃないかという気がすんだけど「《カメラを止めるな!》を大劇場にもってくなら、この作品もってけよ」と僕も思いました。
ヨネコ
いわゆる法廷劇とシンギュラリテイが起こったAIに感情が認められ、人格存在のパラダイムシフトを許容できるのかというコンセプトの比較的短い作品であり、演出や編集はテレビドラマを感じさせる構成であり、日曜深夜枠にはぴったり当てはまる内容ではないだろうか。自動運転AIが意思と感情を獲得時代が来ることを想定しての前提であり、似たような話は古今東西どの媒体にも取り上げられており、少なくても自分は攻殻機動隊でこのような話を知っている。で、今作なのだが、話が噛み合わない。本来はもっと高度な哲学的倫理的問題なのに、その葛藤が描かれない儘に結論に性急すぎる。なので狐に摘まれたような、展開の強引さに置いていかれてしまう。判決としての刑罰で記憶の抹消という落とし処がイミフである。
そもそもAIに責任論を押しつける程の高度な知能を人間が獲得しているのが怪しく、合理性を突き詰めるのか、もっと情緒を大切にするのか、その両方のバランスを保つのか、はたまたそもそも本質である“揺れ”を自然と認知して受容れるのか、それは統一できるものではない?それともできる?そんな大風呂敷を広げてしまって綺麗に畳むことなど不可能なのに作ってしまったストーリーではないだろうか。法廷劇のフリと回収も、個々に繋がりは披露しているが、結局それは物語にどこまで重要なファクターなのかといえば、疑問が残る。AI=未成年の我が子というメタファーとしての描き方ならば、違った目線の解釈になるのかもしれない。そういう多重層な狙いなのであろうか?
ちなみに題名の“センターライン”→車が中央分離線を越えて事故を起こしたことが起因と言うことと、道を分けることで人とAIのアンタッチャブルな領域を超えてしまったことのダブルミーニングらしい。この手の問題のややこしい事がいわゆる“トロッコ問題”である。もしこの部分を“華麗にスルー”したいのならば、先程のメタファー部分を強調した方が良かったのではないだろうかと思う。
監督自身はシリーズ化を図っているようだが、映画作品にするより、ネットフリックス的なメディア媒体を利用した方が作品向きなのかなと思う。その際はやはりキャスト陣を高演技力溢れる俳優に変更して仕切り直しをすることをお奨めしたい。自動運転AIの容れ物をナビゲーションにし、カメラをくっつけたことで、その容貌が擬人化出来たことはアイデアとして素晴らしいし、そのカメラがモーターによってコミカルな仕草を繰り返す演出も巧いし、そもそもコメディ演出はレベルが高いと思うので、ストーリー展開と、法律用語及びAI用語という、かなり専門性の高い問題をどう観客に表現できるのか、その辺りの手腕を期待したい。
話はそこそこ、演技もそこそこ、お金かけた駄作よりはいいかなって作品...
話はそこそこ、演技もそこそこ、お金かけた駄作よりはいいかなって作品でした。
見終わった後感じたのは、この内容、かつて、小劇場で感じた空気と似ているなと
多少強引な、細かい部分の詰め方。各個人に任されて全体のバランスの悪い演技など、身内は楽しいと思いますが、まったく知らない第三者が見た時にそれがどう映るかを想像しないと、メジャーにはなれないだろうなと言う、感想を持ちました。
現在は映像表現が、昔より手軽に制作できる時代になってきたんだなと感じる作品でした。
小劇場の中から、テレビや映画を席捲する劇団が出てきた様に、こういった作品が、昨年流行った「カメラを止めるな」の様に、一気にメジャーになる作品に出合えるかもと言う楽しみ方ができる時代になったんだと思います。
彼らの作品も是非そんな飛躍を期待したいです。
頑張ってる日本映画を全面的に応援したい‼️
裁判長‼️正直に告白します。
舞台挨拶の役者さん達を見て応援したくなりました。
なので、緻密な法廷劇なのにそれはないかな、というところもなくは無いのですが、評価における証拠として採用されるほどの粗とは思ってません。
むしろ、AIはこれまでの家電やPCとは違い、ただ技術的進化の恩恵を享受するという受け身の発想から、近い将来に我々自身がその使い方(というより使われ方といったほうが事実的には正確かもしれません)を考えなければならないであろう課題を具体的、かつ、現実的な問題として提起してくれたチャレンジ精神と斬新なアイデアに十分な情状酌量が考慮されることを確信しております。
というわけで極私的判決では満点とさせていただきました。
5月3日まで池袋では、最終回の後に舞台挨拶があるようなので是非この機会にご鑑賞されることを切望します。
検察官の仕事って…!?
自動運転AI「MACO」が普及し交通事故が殆どなくなった中、刑事部への配属を希望しつつ交通部に配属になった2年目の検察官が、事故を起こし運転手を死亡させたAIを起訴する話。
裁判で被告である開発中のAI「MACO2」は自部が殺したと発言し、立件する為に主人公が捜査、取り調べを行っていく。
無感情な喋り方で感情はない筈ながらすっとぼけた発言やカメラの挙動をみせるというコミカルな要素も満載。機械とマジメにやりとりをするのもシュールで面白いし。
ご都合主義だったりチープな設定や演出や展開で、何で!?やそんなアホな!となるところも多く、ちょっと洗練された感じがなかったけれど、ストーリーとしてはなかなか良かったかな。
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