劇場公開日 2020年1月25日

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「こんな映画見たことない」彼らは生きていた しかしんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0こんな映画見たことない

2020年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「彼らは生きていた。」
原題They shall not grow old. 多分彼らは大きくならなかった、その後の人生がなかった、死んでしまったかもしれない、というのがタイトル。(和約に自信がありませんがそんな感じじゃないですかね) 日本語題はポジティブにつけていて原題の意味が伝わってないと思う。
第一次大戦の膨大な資料映像を着色して、読唇術で会話を再生してアテレコ、まさに戦争時の様子が描かれている。西部戦線では塹壕を掘ってこもり、機関銃の登場で突撃をかけた方はボロボロ殺されて大量の死傷者が出た。その合間の兵士たちのくつろいだ様子があるらしい。国で出征するときに、民衆の熱狂的な愛国心の様子や、興奮して行進について行って兵舎に入った人がそのまま入隊させられるという映画みたいな事実、数年間塹壕にこもって殺し合いしているのにクリスマスになると自然的に休戦となり一緒にサッカーやったり、我々が知らない戦争の現実がそこにはある。完全なドキュメンタリーだ。カメラに写っている人たちのその後はどうなっているか分からない、ということでしょうか。見たいけど上映館が少ない。

2020.4.19
見ました。
語りはすべて当時の軍人さん。100歳は超えていると思うからもう亡くなった人たちでしょうね。開戦時の国に巻き起こった高揚感、従軍して次第にわかってくる現実感。前線で死が隣り合わせなのに感覚がマヒしてくる。死体を片付けられないため日に日に募る臭気。ドキュメンタリーだけど映画を見ている感じ。爆弾も死体もよくできているなあ、と思ってしまう。しかしこれらは真実なのだ。前線で4日ほどがんばったら2週間後方でお休み。みんな楽しく遊んでいる。この戦争が生活になってしまい、違和感を感じていない。
ドイツ人を殺せと息巻いていたのに捕虜としてとらえたらけっこういい奴だった。食料を十分食べていない。こちらの些細なしぐさにおどおどしている。日がたつほど共感が生まれてくる。
1917の映像が本物に相当近いのが分かった。改めていい映画だ。
戦争に勝った後みんなこれからどうしよう、と。戸惑う。イギリスに帰ると英雄視されずかえって蔑視されたらしい。300万人死んでいるから身内に被害者がいる人も多い。生きて帰ったのはずるいのか?
こんな映画は初めて見た。
クリスマスにサッカーはしてなかったと思うが。

もう映画館はしばらく使えないでしょうからアマゾンプライムにはありました。是非見るべき映画だと思います。

しかしん