「歴史の暗部に光を当てた作品」赤い闇 スターリンの冷たい大地で 男爵プリンさんの映画レビュー(感想・評価)
歴史の暗部に光を当てた作品
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ネットで作品の広告を観て興味を持ち映画館へ。自分は元々ノンフィクション系の作品が好きだが、これはまさにその王道。1917年に革命が起き、翌年にソビエト社会主義連邦が成立して10数年後から物語は始まる。壮大な20世紀の社会実験が失敗に終わったことは前世紀でご存知の通りだが、実は黎明期には西側(日本含む)にもソ連を見倣う声があった。折しもニューヨークのウォール街に端を発する大恐慌が世界経済を破壊している最中、ソ連は鉱工業・農業生産共に大躍進を遂げ、日本や米欧を凌駕する急成長を見せた。その秘密を探る為、英国人ジャーナリスト・ジョーンズが単身ソ連へ向かう。そこで秘密はウクライナにあることを知り、そこへ向かう列車から急遽途中下車し、一面冬の銀世界へ降り立つが、そこで目の当たりにしたものは…
ウクライナのホロドモール(飢餓輸出)に関しては日本ではあまり注目されることはないが、特に西側諸国に関してはソ連による「ジェノサイド」であると認識されている。主に戦争映画ではノルマンディー上陸作戦やスターリングラードの戦い、ミッドウェー海戦などが取り上げられるが、この作品は戦間期に焦点を当てている点においても評価できる。途中、英国作家ジョージ・オーウェルの「動物農場」の節が登場するが、ソ連に対する最大の皮肉になっている。
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