「今も変わらない話」赤い闇 スターリンの冷たい大地で Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
今も変わらない話
なんか観るもんないかなと上映スケジュール漁ってるとこに
たまたま見つけて観賞
感想としては
結構淡白な内容と途中で監督変わったのか
と思うほどの不安定な描写スタイルに戸惑うも
扱うテーマは今も変わらない事過ぎて思うところは
ある映画でした
第二次大戦前の英国
政権奪取直後のヒトラーを取材した事もある
ウェールズ出身の外交顧問ガレス・ジョーンズは
世界恐慌下でも繁栄を謳うソ連のスターリンの国家運営に
疑いを持ち首相に訴えますが相手にされず
予算削減で外交顧問の任も解かれフリーランスに
なったところでソ連のことを調べはじめます
そこでヒトラーの時に世話になった記者ポールが
ちょうど今モスクワにおり会いに行きますが
その記者に会えと言われたニューヨークタイムズの
ピュリッツァー賞も取ったデュランティから
ポールは強盗に殺されたと聞き愕然とします
ガレスはヒトラーの時のようにスターリンに
取材したいと言います鼻で笑われ
1週間取ったはずのモスクワの豪華ホテルは
勝手に2泊にされているなど歓迎ムードでなく
ディランティに言われ参加した記者のパーティは
麻薬も溢れる堕落した世界でガレスは呆然とします
モスクワは確かに大都会で賑やかにやっていますが
相変わらず理由がわからないガレスはポールの同僚
エイダに委細を訪ねるとポールも同様の取材をして
殺されたのだと真相を打ち明けウクライナに
行こうとしていたと伝えます
実は母がウクライナ出身のガレスは監視をかいくぐり
ウクライナ行きの列車に乗りますがそこには食べ物を
見るだけで目の色を変える飢えた人々しかいませんでした
結局ソ連の繁栄の正体は近隣の軍事的支配地域からの
ウルトラ搾取社会でウクライナの人々は作物を全て
ソ連に奪われ何百万人と餓死者が出ていたのでした
このガレスが結構抜けた男でして
不用意にソ連のことを訪ねてはスパイとされ逃げ回ったり
○○の肉を食べちゃったときにすぐ気が付かなかったり
そもそもスターリンにすぐ取材出来ると思っていたり
コイツ大丈夫かという描写が目立ち移入しづらかったです
真実を知りたいんだろうけどポールよりいつ死んでも
おかしく無さそうです
結局ガレスはウクライナ潜入でソ連側に捕まり
実態を口外しない引換にロンドンに返されますが
「真実を公表する義務と知る権利」を守るために
結局新聞にソ連の真実を公表するのでした
観てて思ったのは
今でもソ連みたいな国はあるし
マスコミが恣意的に内容を操作してる現実は
なんら変わっていない現実に滅入るばかりです
共産主義は人民の平等と共栄を謳いますが
そんなものはどだい無理で外面ばかりよくして
中身は国民の犠牲をなんとも思わない社会です
ですが世界恐慌によって資本主義経済も大して上手く
回っていないところも現代とまるで変わってません
自助公助のバランスを取り持つのは結局
共産主義でも資本主義でも難し現実に人類社会は
未だに直面しているのです
映画としては話の展開とかテンポが不安定で
どこまでやるのかダラダラした感じで進んだり
不満もありましたがキャストは総じて雰囲気があり
ワイスピのスーパーコンボでも印象的だった
ヴァネッサ・カービーも存在感ある演技でした
あまり知られる事のなかったウクライナの悲劇
知る機会になって良いと思います