ニューヨーク 親切なロシア料理店のレビュー・感想・評価
全88件中、41~60件目を表示
アメリカの大都会をアメリカ映画以外で描く
群像劇。警察官の夫のDVから2人の息子と共にニューヨークに逃げてきたクララ。愛した人からひどい裏切りをされ、今は看護師をしながらホームレスやセラピーのサポートグループを運営している独身のアリス。犯罪者の弁護をして悩んでしまいセラピーに参加するジョン・ピーターと、彼に付き添っているロシアンレストランのマネージャーで弟を薬物中毒で亡くし自身も出所したばかりのマーク。仕事がいつも上手くいかず行き場がなくなった若者ジェフ。
一見、何事もないように暮らしている人たちも心に孤独や闇を抱えていて、お互い許し合い助け合うことの大切さを描いている。
警察官のDV夫の怖さは「セイフ・ヘイブン」で描かれている通り。しかしこの映画ではそこまでではなくて救われた。
途中、息が詰まる毎日に息子が公衆トイレの個室で号泣していたのをドアを蹴破って助けてくれたホームレスに対してクララが少しおどおどした視線を向け、それに対してホームレスの男性が「目を見ろ!私だって昔は家族がいた。君と同じだ!」と怒る。そうなんだよねー。紙一重。
映画の中で目立つのは、ホームレスへの食事のサポートや衣料の配布など、サポートプログラムの充実。公的支援でなくおそらく民間のプログラム。キリスト教の文化では施しをするのが習慣として存在するからこそ成り立つシステムで、施しを受けることが恥で、恥をかかせることになるからあまり施しをしない日本では、支援を民間に任せてはこのようには機能しない。
邦画タイトルが0点、の良い映画です
邦題「ニューヨーク親切なロシア料理店」が、よろしくない。フライヤーに記載されてる内容もしかり。デザインも。
原題の「The Kindness of Strangers」
の複数形のStrangers。が、伝わってないです。当然、Kindnessもね。
作品の一場面、教会の中で開かれているサークルで、リーダーが諭す一言「思いやり」が全てを繋いでいる映画です。
NYにいるであろう多くの弱者、見知らぬ人たちの献身で、綴られています。
あわせて、女性監督ならではの、母親の描き方が、心を揺さぶります。
年末に見たのですが、今年(コロナ禍)見るべき映画だったように思え、この出会いに感謝し、さらに良かったです。
途中、東京にもたくさんいるシングルマザーの実情も、NYと大して変わらないのでは、と心が苦しいです。
哀しみを知るからこそ
暴力夫から逃げ出してきたクララを中心に、様々な問題を抱える人々が集う老舗ロシア料理店での物語。
刑務所から出てきたばかりで店のマネージャーとなったマーク。
マークの弁護士を務めたジョン。
店のオーナーでロシア訛りのティモファイ。
激務の看護師をしつつ、セラピーも行うアリス。
仕事が長続きしない(できない)ジェフ。
皆、行き場のないクララと息子たちを助けてくれる。
いわゆる無償の愛ってやつでしょうか。
親切にしてくれる皆は、決して他人を気に掛けるほど余裕がある人達というわけではなく、それぞれ自分の事で精一杯のハズの状況でありながら…という所に胸が打たれる。
訳あって警察には相談できずに家を飛び出したクララだが、冷静に考えちゃえば、それが警察に相談しない理由にはならないのでは?と思いつつ、、、登場人物皆を見て、自身も悩みを抱えるからこそ、人に優しくできる気持ちが持てたりするのかな~なんて思えた。
何より、他の5人もクララを助けていく過程で、それぞれが自分自身とも向き合えていく様子に心がとても温まった。
ありきたりな感想ですが、自分に余裕がない時でも、困っている人を助けられる気持ちを大切に持っていきたいですね。
ちょっとできすぎかもしれませんが、この暗いご時世に優しさに触れほっこりしたい方々におススメ。
大人の御伽噺かな?
主要人物のほとんどがウソみたいに良い人ばかり。
現実ではあり得ない、御伽噺レベル。
なぜそこまで見ず知らずの人に親切にするの?と不思議に思うほど。
だってニューヨークですよ。
だってアメリカ人ですよ。
中には親切で優しい人もいるでしょうけど、いきなりよく知らない人を家に泊めたりしないでしょう?
知り合ったばかりの人を雇ったりしないでしょう?
映画としては悪くないけど、、、やっぱ御伽噺ですね。
想像力
『幸せになるためのイタリア語講座』の監督だったんですね。不器用な人達が皆で語りあい助けあうという本質は変わっていなかったので納得しました。
何故、人は貧困やホームレスになるのか。その理由が分からない人にも想像をしやすい作りになっています。人間は立派な人ばかりでも成功者ばかりでもありません。逃げたり盗んだり嘘をついたり弱かったりするものです。それが人間なんですよね。だけど、ひとりの人の言葉で変われたり、誰かの助けで立ち直れたりするのも人間なのです。だから、こういった作品がジーンとくるというか。人は誰かの役に立ちたいのです。助けることが喜びなのです。そんな当たり前の事を思いださせてくれました。
あったまるわ~
この手の映画はあまりタイプではないけど予告が良かったので行ってみました。結果、X'masに女ひとりで観るにはもってこいでした。あ、なんか寂しい(笑)
警察官である旦那の子供への暴力から逃れる為に2人の息子を連れて車を走らすクララ。目的地は大都市ニューヨーク。しかし頼りの義父には相手にされず、路駐していた車はレッカーされ、持ち金もなくすぐにホームレス状態になってしまう。
一方、料理もサービスもまずいと揶揄されるマンハッタンの老舗ロシア料理店には新たにマネージャーとなったマークの姿が。刑務所を出たばかりのミステリアスな男。
この店の常連で看護師のアリスは激務に加えて都会で居場所を失った人達への支援活動も行いいつも他人のことで頭がいっぱい。
そして社会的コミュニケーションがうまく取れないジェフにマークの弁護士ジョン。
大都市ニューヨークの片隅で、ちょっとワケありだけど困った人を決して見放さない心優しい人達のまさに心暖まるヒューマンドラマ。
本当に登場人物が魅力的。若くして結婚したせいか世間知らずで旦那に相当依存していたであろうクララがなんとか子供を守ろうとする姿はやっぱり健気だし(あ、もちろん盗みは論外ですけど)2人の息子は無条件でかわいいし、なによりマークが(下心は一旦置いといて)ぶっきらぼうだけど優しい。
人と人との繋がりが希薄になりがちな都会で、それでも一生懸命普通の日々を生きる全ての人へのX'masプレゼントみたいな映画でした。
充分あったまって映画館出たら「やっぱ、さむっ!」ってなって、でも大阪の夜景もなかなか捨てたもんじゃないな、なんて思えたそんなX'masになりました(笑)
なんだこのタイトル。
タイトルが良くわからない。料理物かと思ったら全然違った。
前半はニューヨークのリアルな母子と貧困層を描いていてリアルなんだろうなって。
クララの行動は何なんだ。ただ万引繰り返してるだけで、幸運に巻き込まえてる???
訳わからない作品で感動もへったくれもない。
小さな親切が集まって大きな助けになるという
銀座のシネスイッチ、3~4年に1回くらい行きますが「マダム・イン・ニューヨーク」(インド)、「すれ違いのダイアリーズ」(タイ)どちらも良作でした。本作は、ほとんどホームレスになっている主人公ですが、彼女が出会う人たちがみんなちょっとだけ助けてくれます。べつに私財を投げ打って助けなくても、みんながほんのちょっとだけ力を貸してくれれば困っている人には大きな力になるんですね。あらすじや予告編を見ると予想ができるイベントが実際に起こる訳なんですが(笑)、その描き方が意外と淡々としているんですね。無理にドラマチックにしないというか。でもそれが逆にじわじわと胸に浸みます。こういう作り方があるのかと感心をして監督を調べたら「人生はシネマティック!」の監督ですか。なるほど
オーナーとマネージャーの妙
飲食サービスをメインに人生を歩いてきたし、オーナー店長も経験した自分からすると、あのレストランの劇的な人的資源の確保はやはりオーナーの人柄な気がしたりして。経営者としてはアレなんですが、あの方の魅力半端ないすね。まぁ、そこがメインの映画ではないのですけれど、ソコを視点にしていたので、だいぶ好きな作品となりました。映像と音響も丁寧で良かった。
そんな具合に周囲の面々は共感出来るし応援してたのだけれども…。主人公が無理。あの人、入り口から出口まで何にもしてないですからね。きっと(演出として)わざとそうしてる気がするのだけれども(他の丁寧さを観るにつけ)、まぁ酷い。それでも映画としての牽引力を失わないのだから、この監督凄いなぁと感心してしまいました。
素敵な作品には間違いないのだけれども、尋常じゃなく苛々もするのでそこはご用心、って感じですね。
ニューヨークのお伽話
お伽話だと思ってみると、この深みの無い映画も、善人ばかりの設定も気にはならない。
美人で世間知らずで、いたいけな2人の子供を持つ若い母親は、無計画にDV夫から逃げ出す。
が、無計画なので、余分なお金も無く、すぐに行き詰まってしまう。で、鼠小僧じゃあるまいし、本当に困って居る人からは取らないなんて言ってたけど、洋服や食べ物をチョロまかしてその日暮らしとなる。
しかし、色々な善人と出会い、料理店があるビル最上階に住まい、DV夫を懲らしめる為に裁判を起こし守備良く成功、自身も素敵なパートナーを見つける。全てが、上手く行く。勿論、流行ってなかったロシア料理店も順調に行く映画である、
こういうお伽話の映画もたまには良かろうってな感じ。
アリスの話をもう少し掘り下げてみると、わたし的には、面白かった様に思えた。
全くと言っていいほどロシア料理は出てこないが、バラライカの演奏で、多分ロシアを感じさせてくれ その演奏画は良かった。
シンクにスプーンを置いてはいけない
ましては怒りを暴発させてはいけない。
家を支配する暴力から逃れると家を失い、社会から弾かれると仕事も家も失う。辛い現実だ。
夢見るような音楽やカメラワークは心温まる結末を与えてくれる。親切なロシア料理店にはそんな映画が生まれる。
親切こそ人間に必要なもの。そこには人を尊重する距離があり、思いやりがある。
ほんのり暖かい優しさ
淡々と悲劇が地味に描かれているが、登場人物の魅力で惹きつけられる。
いとわない優しさは絶妙でほんのり暖かい、絶望や寂しさを知った者だけが出来る静かな優しさ。
寒い朝の暖かい紅茶と焼き立てトースト、想像しただけでホッと肩の力が抜けるじゃないか。
私もちょっとした気遣いの人になれるだろうか?
一人で見に来てる人が多かった
知らない人に親切にするには勇気がいる私にとっては、少し戸惑う場面がありました。でもこの映画に出てくる人物は、それが自然に躊躇うことなく出来ているので素敵です。
困っている人に手を差し伸べることに、勇気なんて必要ないのかも知れません。
ただし、この主人公の母親がもし若くもなく美人でなかったら話は同じように進んだのかなと意地悪なことを考えてしまったけど、映画だし、まっいいか。
全88件中、41~60件目を表示